自分の市場価値を分析し、妥当な範囲で年収交渉することが大切です。
転職先の年収は、直近の年収や市場価値を参考に算出されます。
理想の転職に近付くためには、内定後の年収交渉は必須と考えている人も多いでしょう。
しかし、転職活動における年収交渉には、交渉に失敗したり、マイナスなイメージを持たれたりといったリスクも少なからずあります。
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デイリー暮らしのエージェント編集部
この記事では、転職時の年収交渉を成立させるためのポイントを解説します。
転職時の年収交渉で仕事へのモチベーションを上げる

転職時の年収交渉をためらってしまう人は多いでしょう。
「転職先でいきなりマイナスイメージを持たれる」、「転職活動が長引く」などといったリスクがあるため、成功するか分からない年収交渉に前向きになれないという気持ちも分かります。
しかし、転職において年収交渉をしないこと自体が大きなリスクです。
年収交渉をしないと、後々に給与への不満が溜まっていきます。
内定後に提示される労働条件通知書に満足していない人なら尚更です。
また、会社は採用者1人につき数十万~100万円以上の費用が掛かります。
年収に不満を募らせて短期間で退職されるのは痛手です。
お互いが納得して仕事をするためにも、転職時の年収交渉は重要なものと言えます。
参考転職で給与交渉はできる?失敗しないための注意点や交渉のタイミングとは
交渉によって年収が50~100万円も年収が上がる
年収交渉の目安は、50〜100万円とされていて、誰でも交渉次第で50〜100万円上がる可能性が高いということです。
年収交渉によっては前職よりも高い給与で働ける可能性が高まります。
しかし年収交渉中は、入社日が決められず転職活動が長引くことが多いです。
そのため、短期間で転職を決めたい人にとって、年収交渉はデメリットになることもあります。
年収が原因で転職を繰り返すのを防げる
年収は労働者にとってモチベーションを維持・向上させる要素です。
転職後に年収に不満が生じると、仕事に対するやりがいを見失い、転職を繰り返してしまう恐れもあります。
転職サイト「ミドルの転職」がサービス利用者549名を対象に実施したアンケートによると、「給与・待遇に不満があった」が転職理由の1位となりました。
転職を考えたきっかけTOP5(複数回答可)
給与・年収に不満があった | 47% |
---|---|
会社や業界の将来性に不安を感じた | 43% |
会社の考え・風土が合わなかった | 40% |
会社からの評価に不満があった | 30% |
仕事の幅を広げたかった | 30% |
同様に、株式会社学情が20代を対象に実施したアンケートでも、転職理由は「給与・年収をアップさせたい」が1位を獲得していることから、ビジネスパーソンは年齢に関わらず、年収に不満を持っていることが分かります。
転職時に「多少の年収が下がっても良い」と思っていても、いずれかのタイミングで不満を持つようになる可能性が高いです。
自分の適正年収を知っておけば年収交渉に自信が持てる

年収交渉に自信が持てないのは、自分の年収の適性が分からないためです。
会社から提示された年収が妥当かどうかの判断ができていない状態では、円滑に年収交渉を成立させることが難しくなります。
自分の適正年収を知る方法は3つです。
適正年収を知っていれば、市場価値に対して低い年収を提示された際に、自信を持って交渉を持ちかけられます。
参考転職時に好印象な給与交渉方法は?やってはいけないNGポイントも紹介
年収診断ツールを利用する
適正年収を調べるなら、診断ツールを利用するのがおすすめです。
経歴等を入力するだけで適正年収を教えてくれます。
dodaの年収査定は、186万人の転職者ビッグデータをもとにした診断ツールです。
現在の適正年収と今後30年間の年収推移を提示してくれるので、転職後のキャリアプランをイメージするのにも役立ちます。
ただし、異職種へのキャリアチェンジをする人は注意が必要です。
dodaの年収査定は、同職種への転職をした場合の目安となる年収を提示しています。
異職種へのキャリアチェンジは、大幅に年収が下がると考えておくのが懸命です。
同じ年齢層の平均年収を資料から調べる
国税庁では、毎年「民間給与実態統計調査」の調査結果を公表しています。
年齢・性別ごとの平均年収を調べるのに最適な資料です。
以下に、20〜60代の性別ごとの平均年収をまとめました。
20〜60代の性別ごとの平均年収 | 男性 | 女性 | 全体 |
---|---|---|---|
20~24歳 | 277万円 | 242万円 | 260万円 |
25~29歳 | 393万円 | 319万円 | 362万円 |
30~34歳 | 458万円 | 309万円 | 437万円 |
35~39歳 | 518万円 | 311万円 | 437万円 |
40~44歳 | 571万円 | 317万円 | 470万円 |
45~49歳 | 621万円 | 321万円 | 498万円 |
50~54歳 | 656万円 | 319万円 | 514万円 |
55~59歳 | 668万円 | 311万円 | 518万円 |
60~64歳 | 521万円 | 257万円 | 415万円 |
65~69歳 | 421万円 | 208万円 | 332万円 |
民間給与実態統計調査の調査対象者全体の平均年収は433万円とのことです。
給与所得者数は、5,245万人(対前年比0.2%減、10万人の減少)で、その平均給与は433万円(同0.8%減、33千円の減少)となっている。
男女別にみると、給与所得者数は男性3,077万人(同1.5%増、44万人の増加)、女性2,168万人(同2.5%減、55万人の減少)で、平均給与は男性532万円(同1.4%減、75千円の減少)、女性293万円(同1.0%減、29千円の減少)となっている。
※出典:国税庁|令和2年分 民間給与実態統計調査
資料では、仕事別の平均年収なども分かるので、一度目を通しておくのがおすすめです。

30歳の平均年収は?手取り、男性・女性の中央値、東京エリアも徹底解説
30歳は、キャリアプラン・ライフプランを真剣に考え始める年齢です。そこで、30歳の男性・女性の平均年収、東京エリアの平均年収、30歳で平均年収700万円以上を稼ぐ人の割合について詳しく解説しています。

参考転職時に給与交渉は可能!失敗事例から学ぶ交渉のコツと注意点
社外の人や転職エージェントに聞いてみる
診断ツールや資料だけではなく、社外の知人や友人に年収について聞いてみたり、または、転職経験者がいれば、年収交渉をしたかを聞いてみるのも良いでしょう。
年収は勤務エリアによっても異なるため、身近な人の話の方が参考にしやすいです。
転職エージェント「doda」は、自社の保有するデータから勤務エリア別の平均年収を公表しています。
順位 | 都道府県 | 平均年収 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|---|
1位 | 東京都 | 438万円 | 490万円 | 383万円 |
2位 | 神奈川県 | 422万円 | 477万円 | 352万円 |
3位 | 千葉県 | 408万円 | 457万円 | 340万円 |
4位 | 茨城県 | 399万円 | 434万円 | 336万円 |
5位 | 栃木県 | 398万円 | 435万円 | 320万円 |
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43位 | 鹿児島県 | 355万円 | 387万円 | 300万円 |
44位 | 宮崎県 | 355万円 | 379万円 | 308万円 |
45位 | 高知県 | 354万円 | 387万円 | 310万円 |
46位 | 山形県 | 350万円 | 376万円 | 300万円 |
47位 | 沖縄県 | 336万円 | 363万円 | 297万円 |
転職エージェントなら、求職者のさまざまな情報と自社のデータをもとに正確な適正年収を教えてくれます。
転職時の年収交渉をする前に知っておくべき3つのポイント

転職時の年収交渉を成立させるカギは、「タイミング」と「年収の目安」です。
これらを抑えておかないと、年収交渉が決裂し、内定が見送られることもあります。
リスクマネジメントの観点から複数社から内定を獲得することも重要です。
参考転職活動で給与交渉をスムーズに行う方法と印象を悪くするNG交渉
年収交渉は内定を獲得してから切り出す
内定を獲得すると、企業から「労働条件通知書」が提示され、給与や勤務地、福利厚生などの労働条件を入社前に確認できます。
年収交渉は、労働条件通知書が提示されてから行うのが基本です。
内定前に年収交渉をするとマイナスな印象を与えてしまいます。
また、内定承諾書を提出した後の年収交渉は不可です。
年収交渉ができるタイミングは、労働条件通知書の提示~内定承諾書提出までとなります。
年収交渉の金額は目安である50~100万円アップに留める
転職における年収交渉の目安は50〜100万円とされています。
実際に年収交渉をする際は、上記の目安を参考に行うのがベストです。
ただし、スキルや実績に対して低い年収を提示されたり、前職がブラック企業で著しく年収が低かったりする場合は、目安の金額以上の年収交渉をする余地があります。
複数社から内定をもらっておくと安心
複数社から内定をもらっておくことで、年収交渉を有利に進められます。
年収交渉が決裂して内定を見送りになった場合に備えられるだけでなく、他社から提示された年収を交渉材料に、年収交渉を切り出すことが可能です。
また、複数社から内定をもらえることで自分の市場価値に自信が持てるようになり、年収交渉に対する精神的な余裕が生まれます。
企業側も前向きに年収交渉に応じてくれるはずです。
年収交渉でよくある失敗例

ポイントを抑えていても、必ず成立するわけではないのが年収交渉の難しさです。
就職や転職の研究や調査を行う「Job総研」が983人のビジネスパーソンを対象に実施した「転職と年収に関する実態調査」によると、転職で年収が上がったと回答した人は全体の58.2%となっています。
アンケート回答者が年収交渉を行ったかどうかは定かではありませんが、アンケート結果から年収が上がる人は限られていることが分かります。
年収交渉で失敗するのは、以下のケースが多いです。
年収交渉で失敗するケース
-
年収交渉のための材料、根拠を提示できない
-
前職の年収が高かった
-
昇給率を無視している
それぞれを詳しく解説します。
年収交渉の材料・根拠を提示できない
年収交渉を成立させるためには、根拠を示すことが重要です。
根拠を示さず年収交渉を切り出すと、企業にマイナスなイメージを与えます。
提示された年収は、同社の社員の年収も考慮している金額です。
それ以上の金額を要求するためには、自分が周りよりも優れていることを明確に示す必要があります。
前職の年収が高かった
大手企業から中小企業への転職をする人や、前職で適正年収以上の給与を得ていた人は、年収交渉で失敗する可能性が高いです。
企業は中途採用者の年収を決める際に、採用者の直近の年収やスキル・実績といった市場価値を参考に算出しますが、給与の目安は企業ごとに異なるため、前職での待遇や転職先によっては、年収が下がる可能性があります。
「openwork」や「en Lighthouse」といった口コミサイトなどで、事前に企業の情報を収集し、社員の平均年齢や職種ごとの平均年収などを把握しておくのがおすすめです。
年収交渉の範囲や限度に目星を付けることができます。

転職したら年収が下がるときもある?年収を下げない転職方法

昇給率を調べていない
提示された年収だけを見ると、転職で損することもあります。
これは昇給率が会社ごとに異なるためです。
年収交渉をする際は、給与の昇給率や給与体系全体を確認することをおすすめします。
将来的に手にする金額が転職によってどのように変化するかを計算し、年収交渉をするかどうか、年収交渉をするなら妥当な範囲はどれくらいかを決めるのが良いです。
年収交渉を円滑に成立させるための交渉術
年収交渉を円滑に成立させるには、入念に事前準備をすることが大切です。
準備不足のままの年収交渉は、失敗の確率を上げることに繋がります。
ここでは、年収交渉を切り出す前に知っておきたい『年収交渉術』をまとめました。
要求を明確にまとめておく
年収交渉は長引くと、焦ってしまい希望を妥協してしまうようになります。
円滑に年収交渉を成立させるためには、自分の要求を明確にすることが重要です。
最低年収や福利厚生、労働時間など、自分の要求のすべてを明確にしてから年収交渉に臨むことで、交渉内容がブレること無く交渉できます。
時間が短縮できることは、企業側から見ても嬉しいことです。
実績を証明できる資料を用意する
提示された年収以上の金額を要求するからには根拠が必要です。
自分の実績を示す資料や、複数の企業から内定があれば、それが交渉材料となります。
そして口頭ではなく、資料を用意するのがポイントです。
また、年収交渉の場で資料を提示し、自分の市場価値をアピールすることは、「仕事ができる人」だというポジティブな印象を企業に与えやすく、交渉が有利に進められます。
企業への将来的な貢献度を伝える
企業に年収をアップしてでも雇うべき人材であるという印象を持ってもらえるよう、自分の強みをアピールし、将来的なメリットを示せると良いです。
例えば、営業が得意な人なら「営業成績を1年でアップさせます」などと伝えます。
自分の実績や強みを活かして、将来的なメリットを具体的に伝えることで、「頑張って仕事をしてくれる」「メリットを実現するために努力してくれる」という印象を持ってもらいやすく、年収交渉に前向きな姿勢を示してくれる可能性が高いです。
年収の最低希望額は伝えない
「年収の最低希望額は〇〇〇万円です」などと企業に伝えるのはNGです。
企業は年収交渉の経験が個人よりも豊富にあります。
最低希望額を伝えると、伝えた金額+αを提示してくる可能性が高く、希望する年収を下回ってしまうかもしれません。

転職の失敗事例5選!入社して後悔しないためのポイントを解説

転職エージェント利用者は年収交渉を依頼できる

年収交渉のポイントやメリットを知っても、自分で交渉する自信が持てない人や不安を払拭できない人がいるかと思います。
年収交渉の機会は滅多にないので当然のことです。
転職エージェントを利用すれば、年収交渉を代行してくれます。
利用はもちろん無料です。
ここでは、転職エージェントについて解説します。
転職エージェントとは?
転職エージェントは、転職活動をサポートしてくれるサービスです。
希望に近い求人を探したり、応募書類の添削・面接対策をしてくれたり、また、企業と求職者との間に立って連絡や交渉を代行してくれます。
転職エージェントは、サービス利用者を転職させることで企業から人材紹介料を得るビジネスモデルのため、求職者は無料で利用できるのが特徴です。

転職エージェントのメリット・デメリットを解説!利用がおすすめの人とそうでない人の違いとは?

年収交渉はキャリアアドバイザーが代行してくれる
年収交渉も転職サポートのプロであるキャリアアドバイザーが代行してくれるので、希望年収での転職がしやすくなります。
先にも記した通り、転職エージェントはサービス利用者が転職して初めて利益を得られるビジネスモデルなので、ビジネスを成立させるために、求職者の希望を実現して円滑に転職活動を終えられるよう努めてくれます。
企業からマイナスの印象を持たれない
転職エージェント利用者がキャリアアドバイザーを通じて年収交渉をするのは、個人で年収交渉を切り出す時とは異なり、マイナスな印象を持たれないのが転職エージェントを利用するメリットです。
また、企業と直接交渉をしないので、精神面でもプレッシャーを感じずに余裕が持てます。

転職先が決まってから退職するメリットを解説!伝え方や手続きはどうすればいい?

まとめ

年収交渉は、理想の転職を実現するために必要なプロセスです。
事前準備を入念に行い、しっかりと自分の市場価値をアピールできるかどうかが円滑な交渉成立のポイントとなります。
しかし、年収交渉はあくまで「交渉」です。
どんなに頑張っても失敗する可能性もあります。
成功の確率を上げるためには、交渉術を心得ておくことが重要です。
年収交渉に不安がある方や、自信が持てない方は、転職活動で転職エージェントを利用することをおすすめします。
転職エージェントを通して転職活動を進めれば、年収交渉を含む転職活動の全ての行程をサポートしてくれるので転職活動に不安がある方も安心です。

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