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「阪神2‐0広島」(19日、甲子園)
われらのアニキが帰って来ました。久々に聖地の左翼の守備位置にも就いた阪神・金本知憲外野手(42)が五回に右翼中段へ運ぶ9号2ラン。打線が広島投手陣に苦しめられる中、見事な一打で得点をもぎ取りチームを今季最多の貯金12に導いた。巨人とのゲーム差は0・5で変わらずだったが、お立ち台では「あす、あさってで(巨人を)抜きたいと思います」と球宴までの首位ターンを高らかに宣言した。 ◇ ◇
大嫌いな甲子園の浜風が心地よかった。聖地で響かせた99日ぶりの快音。金本が最高の「ただいま」をこん身のスイングに込めた。
0‐0の五回。新井四球後に好投の先発ジオが負傷降板する突然のアクシデント。この間、約4分。ネクストで投手交代を冷静に見届けた金本がブラゼル三振の直後、2番手岸本をねじ伏せた。「無死から走者が出たんで、あの回、一気につぶそうと思って。投手が代わったけど変なことを考えず、この回、点を取るんだという気持ちがあった」。カウント0‐3から速球をフルスイング。とらえ損ねファウルになるも、この積極性が直後の快音につながった。5球目。内寄り低めの147キロをとらえた打球が強烈な逆風を切り裂き、右翼席中段に飛び込んだ。
「最後に打ったのは巨人戦でしたけど、それ以来で、ベースを一周するのが照れくさいというか、恥ずかしかった」。17戦27打席ぶりの9号2ランが両軍唯一の長打となり、接戦で値千金の輝きを放った。甲子園では4月11日ヤクルト戦以来の1発。お立ち台で、巨人藤井から放った4月6日の2号決勝2ランと記憶違いしたが、これもご愛嬌(あいきょう)。意識の先にある宿敵の名をつい口走ったのも、金本らしかった。
「迷惑だけはかけずに、一日1つでいいからいい仕事をしたい」。ファンの前で発した本音を裏付ける行動が、試合前にもあった。東京から移動したこの日、金本は朝8時40分の新幹線で一人、帰阪した。新大阪駅に到着すると、自宅に戻らず甲子園に直行。練習開始の約2時間前、若手数人しかいないクラブハウスで黙々と下半身の筋力強化に励んでいた。4月18日に先発を外れて以降、右肩のリハビリで多大な時間を費やすため、下半身強化がままならず「最近、足が少しやせたかな」と危機感を覚えていた。1週間前に再開した下半身トレが「今季一番の当たり」を導いた。
「久々にレフトを守ってメチャクチャ緊張した。緊張している、引きつっているところを見せたくなくて、必死に顔を作っていた」。甲子園の定位置に帰ってきた金本が気勢を上げた。「きょうデーゲームで巨人が勝っていたので、絶対に負けられないと思っていた。運良く、うまくいけばあす、あさってで抜きたいと思います」。首位との0・5差は変わらず。球宴まで残り2試合。金本の一振りが、いよいよ宿敵の首根っこを捕まえる時がきた。
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