ホーム > 野球 > 金本知憲特集

メンバー表交換わずか5分前の決定!!(2010年4月19日)

 金本の名前が消えたスタメン表

 「横浜4-8阪神」(18日、横浜)

 時計の針が容赦なく時を刻む。メンバー交換の12時50分が、刻一刻と迫っていた。監督室で練習終了間際まで続いた阪神・真弓監督と金本の最終会談。「4番左翼」の定位置に金本の名が書き込まれたメンバー表を挟み、指揮官は懸命の説得を続けていた。

 「もうちょっと頑張ろう」

 しかし、アニキの決意は揺るがなかった。

 「これ以上、迷惑は掛けられません」

 メンバー表が書き換えられたのはメンバー交換のわずか5分前、12時45分のことだった。

 「メンバー交換の時に『本当にこれでいいのか』と思いましたね…」。鮮やかな逆転劇にも、笑顔でいられるはずがなかった。試合後のベンチ裏。指揮官は憔悴(しょうすい)しきった表情で、苦渋の決断を振り返った。

 右肩痛との壮絶な闘い。危機的状況であることは分かっていた。しかし、幾多の苦難を乗り越えた金本の生命力を信じ、打線の心臓部を託し続けた。記録を途切れさせてしまうことへの躊躇(ためら)いではない。就任1年目の09年から、162戦にわたって4番を託し続けた世界の鉄人。強じんな精神力で必ずこの危機を克服すると、信じて疑わなかった。

 「これでカネの気持ちがね…張りがなくなるというのが怖い」。時折表情をこわばらせながら、金本の胸中を慮る指揮官。「早く治してもらって、ベストとは言わないけどいい状態にして帰ってきて欲しい」。記録はついえた。しかしこの男が、猛虎を支える無二の男であり続けることに変わりはない。

 チームが勝つためには、自分の記録は途切れてもいい‐。

 金本の言葉が、指揮官の胸を焦がす。どこまでも使い続けるつもりだった。しかし最後は、アニキの熱い思いを尊重した。1日も早い復活を祈るしかない。そして4番左翼に再びあの男が舞い戻るまで、こん身のタクトを振るうしかない。

(2010年4月18日)

ソーシャルブックマーク・RSS・google+1・twitter・Facebook

【野球メニュー】

スコア速報/ 契約更改/ 選手名鑑/ ドラフト/ 順位表/ 【セ・リーグ】 日程/ 打撃成績/ 投手成績/ 【パ・リーグ】 日程/ 打撃成績/ 投手成績/ 【交流戦】 順位表/ 打撃成績/ 投手成績/







Copyright(C) 2011 デイリースポーツ/神戸新聞社 All Rights Reserved.
ホームページに掲載の記事、写真などの無断転載、加工しての使用などは一切禁止します。ご注意下さい。
当サイトは「Microsoft Internet Explorer 4.x」「Netscape Navigator/Communicator 6.x」以上を推奨しています
Email : dsmaster@daily.co.jp