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金本が盟友激励の一発…虎、交流戦5割(2010年6月12日)

 5回、金本は右前タイムリーを放つ(撮影・村中拓久)

 「ロッテ2‐4阪神」(12日、千葉)

 阪神・金本知憲外野手(42)が五回に13打席ぶり安打となる右前適時打。七回には6号ソロも飛び出し、2安打2打点と気を吐いた。千葉マリンでの連敗は「4」でストップし、真弓虎はロッテ戦3連勝。貯金も今季最多タイの7とした。勢いに乗って、交流戦勝ち越しをかけた最終戦に挑む。

  ◇  ◇

 盟友を激励する1発になった。低空で右翼席へかけた金本の6号ソロが試合を決めた。七回2死無走者で刻んだ貴重な追加点。熱烈敵地の悲鳴を背に、4番が4つのベースをゆっくり踏んだ。五回の前打席にも3点目の適時打を放ち、2安打2打点。2試合無安打で迎えた交流戦最終カードで、がむしゃらに結果を出した。

 6月1日の楽天戦以来、8戦ぶりの1発に口調も滑らかだった。「新井さん流に言えば、チームのために食らいついていきました」。試合中、広報に発したコメントで弟分のフレーズをまねた。「ほんとに、面白くないコメントですみませんでした」。試合後は輪をかけて新井に当てつけ、イタズラっぽく笑った。

 弟分は新井だけではない。千葉で再会を心待ちにした後輩がいた。前夜、宿舎のある幕張から車で30分以上かけて向かった先は八千代市。元阪神投手の井上貴朗氏が経営する同市内の焼き肉店で金本を出迎えたのは、今岡誠だった。昨オフ阪神から戦力外通告を受け、トライアウトを経て千葉ロッテに移籍。5月24日に1軍登録を抹消され、浦和球場で2軍調整を続ける今岡とメールで食事の約束を交わし、旧交を温めた。

 03年、05年と2度のリーグ優勝をチームの主軸として味わった2人だ。会話の中身は自然と懐かしい当時へ向いた。昨季、今岡の戦力外通告を聞いたのはシーズン最終戦から一夜明けた10月10日。同日、広島時代の同僚緒方の引退試合に駆けつけた金本は、今岡にも惜別のエールを送った。「まだ35歳だろ。オレが阪神へ移籍した年齢だよ。もともとバッティングは天才肌だし、もう一度振る力を戻せば、まだまだ活躍できる」。

 阪神時代から頻繁な付き合いはなかったが、今岡にとって金本は唯一無二の存在だった。阪神在籍中の昨季、最後に1軍登録を抹消された6月4日の夜に今岡から電話があった。「もう一度下(2軍)で頑張ってきます。必ず復活します」。金本は何度もうなずき「頑張れよ」と激励の言葉をかけた。赤星の引退、ジェフの退団、藤本のFA移籍、そして今岡…。共に黄金期を築いたV戦士が続々とチームを去った激動のオフを経て、19年目のシーズンを迎えた。

 腱板損傷を抱える右肩は、日替わりで浮沈する。この日の試合前「天気がいいから、きょうはすごくいいよ」と笑みをこぼしていた。肩さえ回復すれば、結果を出せることを証明した本塁打でもあった。「必死です」。3点目適時打の後、大まじめにそうコメントした。

 交流戦明けの守備復帰を目指しているが、明確なメドは未定だ。

 42歳は「必死に」もがいている。5年前の05年、頂上決戦でプライドを砕かれた千葉で描いた放物線。きょう13日に勝てば交流戦の勝ち越しが決まるが、金本が見据えるのは、そんな小さなものではない。

(2010年6月12日)

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