「宝塚記念・Ｇ１」（２４日、阪神）

　紅一点のホエールキャプチャが大きな壁に挑む。今年で５３回を迎える伝統のレース。長い歴史のなかで牝馬が勝ったのは、エイトクラウン（６６年）とスイープトウショウ（０５年）の２頭だけ。近年ではウオッカ（０７年８着）、ブエナビスタ（１０、１１年ともに２着）などの名牝も、その壁は乗り越えられなかった。

　田中清師も「牝馬だけのレースが続いていたし、馬は戸惑うかもしれない」と控えめだが、ひそかに期待も抱いている。「いつも目いっぱいで自分の力を出してくれる馬。牡馬の一線級を相手に、どれだけの力を出してくれるか楽しみでもある」とグランプリ制覇へ思いを寄せている。

　「体調は今までで一番いいくらいだよ」と指揮官が語るように、この中間は鋭い動きを連発している。１週前に美浦芝で６Ｆ７７秒５‐３５秒５‐１１秒８の好タイムを記録すると、今週は美浦坂路で軽快な動きを見せた。舞台設定については「同じ距離のエリザベス女王杯（４着）は早めに捕まえに行ってのもので、我慢させれば距離は大丈夫だと思っている」とマイナス材料には思っていない。

　阪神ＪＦ、牝馬クラシック路線、エリザベス女王杯で善戦。６度目のＧ１挑戦となった前走のヴィクトリアＭで、ようやく大きな勲章を手にした芦毛の牝馬が、今度は牡馬を相手に頂点を目指す。