【野球】日本ハム・斎藤を絶対的守護神に導く“魔球”の存在 シーズン中ほぼ投げなかった球種 CS直前の紅白戦で決断

 今季の日本ハムのブルペンを支えた斎藤友貴哉投手(30)。47試合の登板で1勝2敗3セーブ14ホールド、防御率1・35。キャリアハイの好成績を収めた。CSファーストS・オリックス戦では、2日連続セーブも記録。そこで注目を集めたのが、160キロを計測した“魔球”だった。

 まさに仁王立ちという表現がふさわしかった。CSファーストSで抑えを任された斎藤は、オリックスの打者を圧倒した。2試合とも3人でピシャリ。猛威を振るったのが、最速160キロを計測したツーシームだった。常時150キロ台終盤のスピードで動く軌道に、解説者も「魔球レベル」と絶賛していた。

 シーズン中は、ほぼ投げなかった球種。手応えをつかんだのは、CS直前の紅白戦だった。試投したところ、同僚の五十幡や細川から「すごい加速してますよ」と驚く反応が。リリースの感触もよく「これ、使えるじゃん」と、CSでの投入を決めた。

 以前はツーシームを投げると、フォーシームの感覚に影響が出てしまっていた。ただ、今回はそんな悪影響もなし。「コントロールは真っすぐと全然変わらない。基本的に握りをツーシーム(の縫い目)に置いて、真っすぐを投げているだけ。それで勝手に動いてくれる」と自分のモノにした感覚があった。

 投げ方はフォーシームと同じで、握る位置を変えるだけ。それで全く違う武器になったのは、斎藤にとっても「新たな発見」だった。そして「メリットだらけ」と表現する。「真っすぐさえ極めておけば勝手に投げられる。一つの球種だけど、練習しなくていいのはいいこと」というのが理由の一つ。さらには腕の動きが、ツーシームを投じれば理想的な外旋の動きのイメージになる副産物もあったという。「かといって、曲げようとはしないので」と、意識せずに理にかなった動きになることも利点だ。

 メジャー歴代1位の通算652セーブを誇るマリアノ・リベラ(元ヤンキース)は、全投球の8割が150キロ台のカットボールだった。斎藤のツーシームもそんな“魔球”の領域に進化すれば、絶対的守護神の座もおのずとつかめるに違いない。

 「球速が速いっていうのは、やっぱり強みかな。また武器が一つ増えた感じ」という新兵器を携えて臨む来季。「球速にはこだわらないけど、こだわる感じ。矛盾してますけどね。体のベースが上がっていけば、球速も勝手に上がるので。1年間、ケガしない体作りをしたい」と、オフはトレーニングに励む。魔球を操る剛腕が九回のマウンドを牛耳れば、10年ぶりの優勝もハッキリと見えてくる。(デイリースポーツ・藤田昌央)

 ◇斎藤 友貴哉(さいとう・ゆきや)1995年1月5日生まれ、山形県出身。30歳。184センチ、92キロ。右投げ左打ち。山形中央-桐蔭横浜大-ホンダを経て、18年度ドラフト4位で阪神入団。22年オフに、2対2の交換トレードで日本ハムへ移籍した。今季47試合登板はチームでは田中に次ぎ2位と、ブルペンの支柱となる働きを見せた。

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