【凱旋門賞】オルフェVへ“勝負装蹄”

 「凱旋門賞・仏G1」(7日、ロンシャン)

 欧州調教馬以外での初制覇へ。オルフェーヴルが“秘密兵器”で本番に臨む。今回は前哨戦のフォワ賞に比べ、さらに持ち味のスピードを生かすことのできる蹄鉄を使用。芝の密度が濃くパワーのいるロンシャン特有の馬場にも対応可能なものでもある。日本最強馬が“勝負装蹄”で世界一へと駆け上がる。なお、4日に最終追加登録が締め切られ、レースは最大で18頭立てで行われる。

 世界一への足固めはできた。オルフェーヴルの蹄鉄を担当する二社谷聡装蹄師は、デビュー時から変わらぬ思いで走りを脚元から支えてきた。「まずは無事に、そしてせっかくのチャンスやし、世界一をつかんでほしい。ただ、俺は馬が走りやすいようにするだけ」。大一番を前にしても、平常心で全能力を発揮できるようにアシストする。

 夢をかなえるためにはロンシャン特有の力のいる馬場に対応できるかが、ひとつのポイントになる。二社谷装蹄師は前哨戦のフォワ賞前にはシャンティイにいる馬を観察。「みんな丸く(蹄鉄を)打っていた」のを見て、勝利へのヒントを得た。日本でも使用している蹄鉄に「なるべく丸い形に仕上げた」とフランス流をミックス。そして、結果につながった。

 今回はフォワ賞よりもさらに進化させる。5冠馬の「ストライドが長いのにピッチ」という走法に注目。前走時より、鉄の縦径(蹄鉄の縦の長さ)を短くすることで「地面に触れている時間が短くなり、よりハイスピードにも対応できるようになる」という。芝に脚を取られにくく、速さを殺されない新たな装蹄は、5冠馬の全能力を最大限に生かすことができる。

 断続的に降る雨の影響もあり、タフなコンディションが予想される。「芝丈は9・5センチと例年通りだが、分厚く昨年よりも密度が濃い」と語ったのはロンシャン競馬場のクリスチャン・デルポルト場長。脚元に実際芝が絡みつく感じが残り、2分24秒49のレコード決着となった昨年に比べても、それほど速くはなりそうもない。

 また今年もレース当日の1レース終了まで、向正面で内から8メートル、カーブで7メートル、直線は18メートルの仮柵が設置される。「内は新しい芝、外は使ってきた芝。相当な違いがあるだろう」と話しており、馬場のいい内を狙って馬が殺到する可能性もある。スピードにも、タフな馬場にも対応できる“秘密兵器”なら、オルフェーヴルが内を突こうが、外を回ろうが、どんな状況でも問題はない。大きな力を発揮するはずだ。

 本番までに打つべき手は全て打つ。池江師も「前日まで、馬場対策で蹄鉄や爪の感じを考えていきたい。最終的に私たちにできるのはその部分までなので」と話した。悔いなく夢の舞台へ送り出すために、まずは脚元をしっかりと固め、世界制覇への足がかりとする。

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