【野球】「僕の顔を見てニヤッと笑ったんです」新人捕手時代に伝説の助っ人から受けた衝撃 西山秀二さんの回想

 1990年代の広島で正捕手として活躍した西山秀二さん(58)が、この季節になると思い出すことがある。南海からプロ野球人生をスタートさせた40年前の86年。プロ1年目の3月に2軍戦で初めてマスクを被った西山さんは、阪神のランディ・バースから手荒い洗礼を受けた。新人捕手だった西山さんに強烈なインパクトを与えた伝説の助っ人のバッティングとは。

  ◇  ◇

 40年という年月がたっても、あの衝撃は忘れられない。

 「南海に入って最初の年、2軍の試合にたまたまランディ・バースが出てきたんです。初めてプロ野球でキャッチャーをやって、その試合にランディですよ!」

 西山さんは野球少年に戻ったように目を輝かせて、1986年3月20日に兵庫県尼崎市の阪神2軍施設、浜田球場で行われたウエスタン教育リーグ阪神戦について語り始めた。

 85年のドラフトで4位指名を受けて南海に入団した西山さんは、この一戦に捕手としてスタメン出場。阪神の3番DHがバースだった。

 前年に54本塁打、134打点、打率・350という驚異的な成績を残して阪神の優勝に貢献した三冠王は、開幕に向けての調整法をめぐって首脳陣と対立。鹿児島でのオープン戦へは帯同せず、調整のために2軍戦に出場したのだった。

 当時18歳のルーキー捕手はバースの打撃のすさまじさを目の当たりにする。

 第1打席。先発の藤村雅人投手からいきなり左中間へ先制二塁打。三回には右翼線へ二塁打。さらに四回には西山さんの同期のドラフト1位左腕・西川佳明投手が投じたスライダーをバットの先で軽々と左中間場外へと持って行った。打球は隣接する浜田車庫に停められていた廃車のバスに激突した。

 「3打数3安打、1本塁打ですよ。木っ端に打たれたんです。ランディが、最後にホームランを打ってホームを踏むとき、僕の顔を見てニヤっと笑って行ったんです」

 初めて経験した伝説の助っ人の打棒に酔いしれた西山さんだったが、試合後に、コーチから配球について指導を受け、バースがニヤリとした理由を理解したという。

 「おまえ、なんであんなに打たれたか分かるかって言われて。分かんないですって言ったんですが、カウント1-2から全部スライダーだったぞ、と。チャートを見たら本当にそうだったんですよ。ランディはそれを分かってた。だから、最後はスライダーをホームランにされたんです」

 3打席目で“初アーチ”を放ったバースは、これで調整は十分とばかりに試合途中で球場を後にした。

 通常であれば2軍の教育リーグが注目を集めることはないが、バースの動向は当時のスポーツ紙を連日にぎわしていた。

 翌日のデイリースポーツには格の違いを見せつけたバースの特大写真とともに、西川投手の「打席に入っただけですごい迫力でしたね。参りました」というコメントが残っている。

 その年もバースは打ちまくり2年連続の三冠王に輝いた。打率・389は、25年シーズン終了時点でもNPBの歴代最高打率だ。

 そんな伝説の助っ人を捕手として体感したあの日-。

 「それまでテレビでしか見たことがなかったんで、対戦してそれはうれしかった。打たれたけど、うれしかった。いい思い出ですよね」

 西山さんはうれしかったという言葉を繰り返した。(デイリースポーツ・若林みどり)

 ◇西山秀二(にしやま・しゅうじ)1967年7月7日生まれ。大阪府出身。上宮高から1985年のドラフト4位で南海に入団。87年のシーズン途中で広島にトレード移籍。93年に正捕手となり94、96年にはベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞。広島の捕手として初めて規定打席に到達して打率3割をマーク。2005年に巨人に移籍し、その年に引退。プロ在籍20年で通算1216試合、打率・242、50本塁打、36盗塁。巨人、中日でバッテリーコーチを務めた。

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