【ボート】昨年11月に引退した冨好祐真さんは新人サラリーマンとして第2の人生

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 尼崎ボートで遠藤エミが通算1000勝を達成した日、YouTube中継のスタッフとして働く姿があった。冨好祐真さん、33歳。2023年11月までこの尼崎で現役レーサーとして活躍し、通算成績は1465走で、54勝、優出1回。引退後はボートレースに関するイベントや宣伝などプロデュースを手がける「株式会社新東通信」に籍を置いて汗を流している。

 ネクタイにスーツ姿で駆け回る冨好さんの後ろ姿は、レース用のカッパを着てピットを駆け回るそれと同じ。この2月から勤務を始めた“新人サラリーマン”は足を止めることなく、四方に気を配り、先輩や演者さんの動きやアドバイスに注意を傾けた。

 「引退することが決まって何をしていいか分からず、ハローワークに通ったり、仕事を探していた」という冨好さん。そのなかで知り合いから「ボートレーサーの経験を生かして、うちで働いてみないか?」と現在の職場から誘いの声がかかったという。

 2012年5月、地元・尼崎でデビューした当時はお笑いタレント、ちゃらんぽらん冨好の長男としても注目された。しかし、マスコミにも取り上げられたデビュー戦とは裏腹に、その後の初勝利は2015年11月の浜名湖、何と389走目。長いトンネルを抜けて飛躍が期待されたが、25歳の時には糖尿病1型を患ったこともあり、なかなか結果を残すことはできなかった。

 デビューから11年半でカポックを脱ぐことになったが、「父に勧められてボートレーサーになったけど、誰にも体験できないようなことができたし、悔いはありません」と前を向いたが、社会はそう甘くはなかった。

 25歳で結婚し、32歳で授かった愛娘はまだ1歳5カ月。一家の大黒柱としての転職活動はハローワーク通いから始めた。同時期に実弟の遼真さんが、大阪の宝塚末広公園前に炭火焼きカフェ&BAR「Plateau Hill’s」(プラトーヒルズ)をオープンしたこともあり、アルバイトとして手伝ったこともあったという。

 ボートレーサーとしては大成することはできなかったが、愚直にレースに取り組んできた姿勢はずっと見てきた。勝てずとも勝てずとも諦めることなく必死に前を向いてきた冨好さん。4月までは試用期間になるというが、「お声掛け頂いたことに恩返しできるように早く仕事に慣れたい」と意欲満々。「これからはボートレースを盛り上げるために頑張ります。いずれは父と一緒にトークショーなんてできたらうれしいですね」-。第2の人生も愚直に走り続ける。(関西ボート担当・中村博格)

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