【皐月賞】嶋田、アサマノイタズラと挑む「感謝」の初G1 さまざまな思い胸に大舞台へ

 「皐月賞・G1」(18日、中山)

 アサマノイタズラとデビューからコンビを組む嶋田純次騎手(28)=美浦・手塚=にとって、今回は記念すべきG1初騎乗。同馬は前走のスプリングSで2着に入り、追加登録料200万円を支払っての参戦だ。星野壽市オーナー、師匠・手塚師への恩返し。そして、4年前に他界した父との約束を果たすため、夢の大舞台にチャレンジする。

 デビュー11年目でG1に初挑戦する嶋田は何度も「感謝」という言葉を口にした。コンビを組むのはデビューから手綱を取るアサマノイタズラ。「オーナーは僕が失敗してもチャンスをくださった。感謝しかないです」。2走前の水仙賞は直線で前が壁になり、スムーズさを欠いて4着に終わった。乗り代わりを覚悟したが、続くスプリングSでも手綱を任され、2着に敗れはしたが優先出走権を得ることができた。クラシックに登録はしておらず、追加登録料200万円を支払っての参戦だ。

 師匠の手塚師に対する思いも同じ。「実習生時代からお世話になっていて、今ではG1の大事な調教も任せてもらっています。これは自分にとっていい財産になっていますし、本当に感謝です」。自厩舎の馬で挑むことが何よりもうれしく、また大きな責任を感じている。

 今回の騎乗を誰よりも報告したい人がいた。4年前にがんを患い他界した父・康一さんだ。「僕は父親の勧めでジョッキーになりましたから」。闘病中に「G1を勝つよ」と約束した。まだ重賞すら勝っていない自分が言える立場ではない。身の程知らずであることは百も承知。それでも、日に日に弱っていく父を、何としてでも勇気づけたかった。

 「勝つのが簡単ではないことは分かっています。ただ、ここで結果を出せたら、こんな幸せなことはないです」と気持ちを引き締める。オーナーへの感謝、師への恩返し、そして亡き父に誓った夢。さまざまな思いを胸に抱き、28歳の青年が初の大舞台に立つ。

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