【高松宮記念】キングハート 悲願G1獲りへ 開業21年目・星野師に栄冠もたらす
「高松宮記念・G1」(25日、中京)
オーシャンSの覇者キングハートを送り出す星野忍調教師(67)=美浦=は、12年宝塚記念(ネコパンチ=16着)以来、6年ぶりのG1挑戦。開業から21年目の悲願を狙う。
最も夢に近づいたのは、04年オークスのヤマニンアラバスタだ。3角先頭から押し切ったダイワエルシエーロを、最後方から追い込んで3着。「いやあ、あの時はドキドキしたね。心臓に悪いよ。寿命を縮める」と笑う。
騎手時代の障害254勝はJRA史上トップ。だからなのか、調教師となっても、道中の駆け引きが時に明暗を分ける長丁場の方が好みだ。「短い距離は分からんよ。騎手に任せるほかない」。今回も北村宏に細かい注文は出さない。それは騎手にとって“信頼”の裏返し。自由な発想で一発が狙える。
17年秋のスプリンターズSは賞金が届かなかった。それから半年、ようやく電撃戦の頂点を争う舞台にたどり着いた。「昨秋も出したかったけど。当時から時計は持っていたし、それなりに走ればいいところにつけられるだろう。高馬にはもともといいところがあるんだろうから、向かっていく方は大変だよ。人気もしないだろう、個人馬主だから」。泰然自若としてほほ笑む。
母ラブハートも同じオーナーが持っていたいわゆる“子分け”。振り返れば、ヤマニンアラバスタもそうだった。増田陽一オーナーもボールドエンペラーで98年ダービー2着。悔しさを味わった。古き時代を知るベテラントレーナーは、自身の悲願が、それ以上にオーナーのそれだと知っている。