麻生財務相また“失言”福島第1原発処理水「飲んでも何てことはない」

 東京電力福島第1原発で増え続ける処理水の処分に関し、政府は13日、関係閣僚会議を首相官邸で開き、海洋放出の方針を正式決定した。2年後をめどに第1原発敷地内から放出に着手。残留する放射性物質トリチウムは濃度を国の基準の40分の1未満まで薄める。風評被害には東電が賠償対応する。全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長は声明で「福島県のみならず全国の漁業者の思いを踏みにじる行為だ」と批判した。

 菅義偉首相は「政府が前面に立って安全性を確保し、風評払拭(ふっしょく)に向けあらゆる対策を行う」と表明したが、麻生太郎財務相は閣議後記者会見で「科学的根拠に基づいて、もうちょっと早くやったらと思っていた。飲んでも何てことはないそうだ」と、さらなる風評被害を危惧する漁業関係者の心情を逆なでするような主張を展開。また、残留トリチウムの濃度は中国や韓国が海洋放出しているものより低いと指摘した。

 政府が決定した基本方針では、国内実績がありトリチウム濃度の検知が確実だとして海洋放出を選択。実施する東電には「風評影響の発生を最大限回避する責任が生じる」と強調し、水産業などに政府が販路拡大や観光客誘致といった支援策を講じても風評被害が生じた際は、東電が賠償するとした。

 第1原発では、溶融核燃料(デブリ)を冷やすための注水や流入する地下水などで今も1日当たり140トン前後の汚染水が発生し、多核種除去設備(ALPS)で処理しタンクに保管している。保管中の処理水は3月時点で約125万トン、タンクは千基を超えた。東電はタンク容量137万トン分が来秋以降に満杯になると見込む。

 梶山弘志経済産業相は福島県に向かい、内堀雅雄知事らに順次面会、理解と協力を求めた。福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は面会後、東電が過去に処理水に関し「関係者の理解なしにいかなる処分もしない」としたことに触れ「約束をほごにされた。次の世代の漁師たちに申し訳ない」と述べた。

 首相官邸前では、原発に反対する市民団体が抗議の声を上げた。

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