白井健三が引退 24歳で決断「選手としての未練は一つもない」日本男子最年少で五輪金

 現役引退会見で笑顔で心境を語る白井健三(撮影・開出牧)
 本社制定ホワイトベア・スポーツ賞を受賞し笑顔を見せる高梨沙羅(左)と白井健三=2014年4月8日
 2016年8月、リオ五輪体操男子団体総合で優勝を決め、日の丸を手に笑顔の白井健三(左から2人目)(共同)
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 体操男子の16年リオデジャネイロ五輪団体金メダルメンバーで、種目別床運動で3度世界王者に輝いた白井健三(24)=日体大教員=が16日、横浜市内で会見し、現役引退を表明した。リオ五輪で日本男子史上最年少金メダルを獲得した“ひねり王子”が、団体メンバー5人の中で最も早く競技を退く決断を下した。今後は指導者の道を進み、すでに日体大ではコーチとして学生の指導にあたっている。

 栄光にも、挫折にも、いつも精一杯向き合ってきたからこそ、晴れやかに競技に別れを告げられた。スーツ姿で会見に臨んだ白井は、笑顔を交え、引退を表明した。

 「選手としての未練は一つもない。幸せな体操人生でした」

 リオ五輪の頃から、東京五輪のシーズンでの終幕は頭にあったという。17年世界選手権では床運動と跳馬で2冠、個人総合銅メダルに輝き東京のエースへの期待を担った。ただ、近年は度重なる故障や採点基準への適応に悩まされ、19年に日本代表から落選。若さと勢いで世界を席巻した過去の自分と今の自分。ギャップに苦しんだ。

 「昔の自分が邪魔だった」-。

 ただ、4月末、一つの答えを見つけた。「過去の自分はもういない」。大学院を卒業後も大学に残り、後輩への指導を始めた中で、「教えることが喜びになっていた」という心境の変化もあった。五輪への思いを捨て挑んだ選考会。現役最後の試合となった6月の全日本種目別の床運動では2位だったが、白井健三らしい躍動感のある演技で締めくくることができた。思い残すことは何もなかった。

 超人的なひねり技で“ひねり王子”の異名を取った。自身の名が付く技は床運動で3つ、跳馬で3つの計6つ。「たまたま世界で初めてやった技が僕に6個あっただけ」と謙遜したが、間違いなく世界の体操界に革命をもたらした選手だった。

 今後は指導者の道を歩む。多くを語ることはなかったが、少しだけ次なる夢への思いがのぞいた。

 「将来、白井健三の教え子だからシライができるんだという教え子ができれば、また面白いかな」-。

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