現役引退の白井健三【一問一答】「シライ3が何だったか分からない」
体操男子の16年リオデジャネイロ五輪団体金メダルメンバーで、種目別ゆかで3度世界王者に輝いた白井健三(24)=日体大教員=が16日、横浜市の日体大健志台キャンパスで記者会見を行い、現役引退を表明した。リオ五輪で日本男子史上最年少金メダルを獲得した“ひねり王子”が、団体メンバー5人の中で最も早く競技を退く決断を下した。近年は度重なる故障や採点基準への適応に苦しみ、今年4月からの東京五輪代表選考会でも苦戦。今月の全日本種目別ではゆかで2位となり復調をみせたが、2大会連続五輪代表入りを逃していた。
白井の一問一答は次の通り。
(冒頭に)
「私、白井健三は、先日の全日本種目別選手権をもって、現役を引退させていただきましたことをここに発表させていただきます」
-今の気持ち。
「本当にすっきりした状態で現役生活を終えることができた。今はもう自分のやりたいことに向かって歩み始めている。選手としての未練は1つもない状態で迎えられた」
-今後は
「今は大学で助教をやらせてもらっている。そういった面で大学に貢献したいし、後輩に自分がしてきたことを伝えていくこと。これをすぐにでもやっていきたい気持ちです」
-決断の時期
「おおよその引退のタイミング決めたのはすごく早くて、リオ五輪の時には東京までかなと思っていた。(コロナによる)自粛明けて、東京五輪のシーズンをやり抜いた形で引退しようと決めました。地元のオリンピックという1つの節目を区切りにしたいと思っていた。自分の体操を東京の年までやりたいなと。最終選考会まで、自分のゆかの演技できたので」
-きっかけは。
「僕が大学卒業後も拠点変えずに練習してきた中で、自分に向けてのエネルギーより教える喜び、学生に向けるエネルギーが強くなった。エネルギーをむける方向が学生に向いていた。選手としての去り時は今だなと思った」
-葛藤は?
「まったくなかったですね。引退という実感はいまだにない。本当に体操辞めたという実感はないが、まだやりたい、もっとやりきりかったという気持ちはない」
-内村航平選手の存在は。
「本当にこの場で、少ない言葉で片付けられない存在。航平さんがいないと、僕はいない。感謝だけでは終われない。今後も指導者として残る僕に、色んなことを教えてくれると思う。ありがとうでは片付けられないが、その言葉しかでてこない」
-引退のことは伝えた?
「周りにはあまり言っていなかったんですけど、航平さんには言いました。4月の段階で伝えさせてもらった。『最後は健三らしい体操が見てぇわ』と言ってもらった。(種目別でも)最後、同じ色(銀)のメダルとって終われた。すごく繋がっているなと思いました」
-計6つの「シライ」と名の付く技について
「まったく感情はない。今でも跳馬のシライ3が何だったか分からない(笑)。名前を付けにいったわけではないので。でも将来、白井健三の教え子だからシライができるんだという教え子ができれば、また面白いかなと思う」