原監督、大田の140メートル弾に大興奮

 「巨人2-0ヤクルト」(23日、東京ド)

 4年分の思いを乗せた白球が、左中間席へ突き刺さった。巨人期待の大田が、推定140メートルの特大1号ソロ。プロ4年目、通算71打席目で生まれた一発に「気持ち良かった。経験したことがない雰囲気、歓声。鳥肌が立ちました」と声を震わせた。

 「いつか出る、必ず出る」。信じ、祈り、バットを振り込んできた。その瞬間が訪れたのは、八回。山本哲が投じた高めのスライダー。振り抜くと同時に確信した。目標とする阿部から譲り受けたバットを、誇らしげに高々と放り投げた。

 松井秀喜が背負っていた背番号55。いつしか重い十字架となり、苦しんだ。プロ初安打を記録しても満足できない。2軍練習場では、結果が出ない若手を自分に重ね「大田みたい、て言われちゃうよ」と力のない笑みを浮かべたことも。そんな苦悩の日々にも、ようやく決別だ。

 東海大相模の先輩である原監督も、興奮を抑えきれない。時には部屋へ呼んで野球道をたたき込み、技術指導を重ねてきた。規格外の一撃に「往年の清原が打ったのを覚えているが、それに匹敵する。何度も夢に見たが、現実的に打ってくれた」と両目を見開いた。

 記念球は支えてくれた両親へ。だが、勝負はここから。今後の結果次第ではポストシーズンの秘密兵器として、起用される可能性もある。「松井さんのようにはなれないが、自分なりに長距離打者のスタイルをつくりたい」。才能を開花させ始めた若き大砲は、表情をグッと引き締めた。

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