新人監督V藤川阪神のウラ側 失策減と盗塁増の要因 大きかった不動チカナカとコーチ陣の連携

 内野の中心となって堅守を構築した中野
 内野の中心となって堅守を構築した中野
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 阪神が2年ぶり7度目のセ・リーグ制覇を達成した。就任1年目の藤川球児監督(45)が成し遂げた球団史上初となる新人監督V。NPB史上最速で歓喜のゴールを迎えた藤川野球を連載「球児虎 火の玉V 凡事徹底の裏側」でひもとく。第2回は激減したチーム失策数と倍増以上だった盗塁数の要因に迫る。

  ◇  ◇

 当たり前のことを、当たり前にこなす。守備面においても、その意識は高かった。藤川監督は練習中から厳しい目を光らせて、ノックでファンブルした選手、送球が甘かった選手を見逃さない。いかなるときも手綱を緩めなかった結果、チーム失策数はリーグワースト2位だった昨季の「85」から、リーグ最少と僅差の「53」(今季数字はいずれも9日試合前時点)へと激減した。

 1番から5番までがほぼ固定で、五つの守備位置が決まっている一方、遊撃と左翼は日替わり状態。特に左翼は、中川、高寺、熊谷ら、本職以外が任されることも多かった。それでもチームとしての守備力が落ちなかったのは、中堅・近本が果たした役割も大きい。筒井外野守備兼走塁チーフコーチが振り返る。

 「近本を中心にベンチとコミュニケーションを取りながら、うまくいったのかなと思います。近本にとっても、熊谷の時、高寺の時、中川の時、前川の時と、というパターンも持っているので」。経験豊富な中堅手がいるからこそ、外野のポジショニングはスムーズに運んだ。

 内野陣はミーティングで対戦相手の打球方向を共有した上で、田中内野守備コーチがポジショニングを的確に指示。昨季まで不安視されていた佐藤輝の守備は、失策数が激減し安定感が増した。中野の堅守は何度もチームを救ったが、それだけではない。藤本総合コーチは「連携というか、内野は中野が中心となっていろいろ動いてくれますし。ショートは何人か代わったりしてるので」と“不動の二塁”の存在感の大きさを示す。

 高い守備力に加えて、足技も藤川野球における特筆事項だ。チーム盗塁数は昨季の「41」から倍増以上で、リーグ断トツの「93」。筒井コーチが目標に掲げていた「100盗塁」にも、3年ぶりの到達が視野に入る。クリーンアップも抜け目なく走って、昨季盗塁ゼロだった佐藤輝は、近本、中野に次ぐチーム3位の10盗塁。森下と大山はそろってキャリアハイの盗塁数を誇る。盗塁をマークした選手も、昨季の10人から今季は15人と大幅増となった。

 筒井コーチは「ずっと武器として持ってたんですよ。去年が少なかったんで、目立つんですけど。去年はチーム状態も含めて、サインがなかなか出しづらかった環境もあると思います」と分析する。打って、走って、守って-。チームとしてハイレベルな三拍子が、独走Vへと直結した。(デイリースポーツ阪神取材班)

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