【野球】阪神 中野の好調の要因とは 内野安打倍ペース、昨季12本→今季早くも7本 リーグ2位の打率・313
阪神の中野拓夢内野手(28)が効果的な打線のつなぎ役となっている。リーグ2位の打率・313、同3位の24得点を記録。これらの数字を残している要因として、昨季からフライ率が大幅に減少していることが挙げられる。その結果、昨季12本だった内野安打が、今季は早くも7本と年間約25本ペースに増加。その理由に迫った。
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18日の広島戦。1点リードの七回2死一、三塁から、二塁への適時内野安打を放ったことは記憶に新しい。中野にとってこれが今季7本目の内野安打。「意外と今まで内野安打って少なかったと思う」。昨季は12本。今年は倍以上のペースで渋い一打を記録している。
なぜなのか。興味深いのはアウトにおけるデータにも表れていた。ゴロ率は昨季の36・7%から48・2%に上昇。一方でフライ率は34・1%から24・1%に減っている。「それは意識して、いい感じにスピンをかけるイメージですね」。昨オフからトップの位置など、打撃フォームの改善に着手した。
その一つとして、逆方向への意識を変えた。「やっぱり潜るというか、こすってのフライが多かったんで」。引きつけて、バットをインサイドアウトで出すことで、ボールの下を打つケースが多かった。今年は「上っ面を打つ。スピンをかけて、ボールをつぶすような感覚で打ってますけどね」。内野安打に限らず、内野の間を強いゴロで抜けていく打球をよく目にする。これは、“シン中野”を証明するものでもあった。
昨季は打率・232と低迷したが、今季はリーグ2位の打率・313と好調キープ。「当たりが良くないとはいえ、Hランプがつくだけで、その日の気持ちは全然違う」と内野安打が打率アップにつながり、相手に与えるダメージも大きい。オリックス・イチローが年間30本、阪神・赤星は40本以上の内野安打を記録した年もある。その数字に近づくことができれば、キャリア初の3割超えも夢ではなくなる。
坂本がボソッと漏らすことがあった。「捕手からしたら、今の中野は嫌だよ」。24得点はリーグ3位。後ろに森下、佐藤輝と強力な2人がいるだけに、是が非でも出塁させたくないところ。それにもかかわらず、抑えたと思ったら内野安打。これは中野自身も守っていて嫌なことだという。
「投手へのダメージもそうですし、守ってる側もアウトにできそうな打球がアウトにできない。それがヒットになるっていうのは、流れとしても嫌だと思う」
ほぼ付きっきりで指導する和田1、2軍打撃巡回コーディネーターも2番の役割を全うしていると太鼓判を押す。「タイプ的にどんだけ相手に嫌がられるか。1、2番が機能することで、勝っているからね」。13犠打はリーグトップ。リーグ3位タイの18四球も選んでいる。首位の猛虎打線における縁の下の力持ちだ。
シーズン途中からは材質が硬めのバットを持ち、「強く振らないイメージ」で打席に向かっている。昨季までは「強く振る」ことで調子が狂うこともあった。「やっぱりいいバットの出方をしてるから、それが内野安打になったりしているのかなと思います」。守備は抜群。足も速い。小技もこなし、率も残す。こんな怖い2番はなかなかいない。(デイリースポーツ・今西大翔)





