奇跡の大逆転生んだ猛虎の“選球眼” 6日・広島戦勝利のカギは「四球」にあり 

 独自の視点からプレーの深層に迫る「虎目線」。球団史上初の9点差大逆転劇となった6日の広島戦を分析する。

 高山、糸原、梅野らが放った決定打に至るまで、欠かせない要因となったのが「四球」。30試合を終えた時点でリーグトップの127四球をマークしている“選球眼”が、後世まで語り継がれる奇跡の試合を生んだ。

 誘い球にも乗らなかった。厳しいコースはすべてカットした。球際の集中力、打席での粘り-。9点差をひっくり返し、今季最多となる12点を奪った猛虎打線。安打数が得点を下回る10本しかない中で、チャンスメークと打線のつながりを生み出したのが四球だ。

 この試合、選んだ四死球は8個。五回、梅野が放った中前適時打の起点は鳥谷が先頭で選んだ四球だった。一挙7点を奪った六回も、高山の四球を足がかりに計5四死球をすべて得点に結びつけた。

 片岡打撃コーチ「ハナから四球狙いで行ったわけではなく、全部が打ちに行って、ボールを見極めて選んだ四球。ピンチの場面になると投手はコーナーを突いて、厳しく攻めてくる。そこを見極めての四球だからね。自然とボールも甘いところへ浮くよね」

 単に走者が塁に出るだけではない。ギリギリのコースをすべて見極めることで、投手はより厳しくと意識する。バッテリーはカウント不利へ追い込まれる。その最たる例が、岡田から中田へ代わった直後、原口の打席だ。

 2死満塁の場面。直球で押されて追い込まれながらもカウント2-2から、勝負球のフォークにバットを止めた。相手バッテリーは投げる球がなくなり、最後は低めの直球を見極めた。押し出しで奪った5点目を原口自身はこう振り返る。

 原口「三振しないようにという意識はなかった。ポイントを近めにとは考えましたけど。2-2からの1球を見極められたのが良かった。勝ちだと思ったし、ああいう打席を増やしていかないといけないですね」

 これが次打者、高山の打席へとつながる。カウント2-2から5球目のフォークをしっかりと見送り、フルカウントへ勝負を持ち込んだ。6球目、連続押し出しを嫌ってゾーンに入ってきたフォークを右翼線へはじき返した。選球眼が生んだ打線のつながり-。それは日々の打撃練習から養われていた。1992年からチームに在籍するベテランの中井打撃投手はこう明かす。

 中井打撃投手「以前はボール球を振ったらダメという意識、教えがあったと思うけど、今の子たちは少々のボールゾーンでも打ち返してくる。よく振ってくれるよ」

 あらかじめゾーンを広げて練習から取り組むことによって、試合で厳しいコースを攻められても対応できる。球審によって違いが生じるストライクゾーンの誤差に惑わされる影響も少ない。昨秋からの振り込み、トレーニングでバットを止める力もついてきた。

 片岡打撃コーチ「去年は本当にボール球をよく振ってね。そこをしっかり反省して、技術を身に付けた。四球を選べば出塁率も上がる。そこが大きいよね」

 例え一発長打は少なくとも、しぶとく、粘り強く相手に食らいつく猛虎打線。奇跡の逆転劇は、今年のスタイルを象徴していた。

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