阪神・秋山、哀しき成人式…故郷で見向きもされず 屈辱バネに躍進誓う

 【2012年1月15日付デイリースポーツ紙面より】

 阪神の秋山拓巳投手(20)が14日、鳴尾浜で自主トレを行った。飛躍が期待された昨季は未勝利に終わり、8日に愛媛県西条市で行われた成人式では周囲から見向きもされず、見知らぬ人のカメラマンを務めるハメに…。改めてプロの厳しさを痛感した次代のエース候補が、悲哀の経験を糧に巻き返しを誓った。

 一生に一度の記念日は悲哀に包まれた。結果を残さなければ忘れ去られてしまうプロ野球界。秋山はその厳しさを成人式で痛感した。20歳の右腕は「今年は頑張ります」と唇を震わせながら、悲壮感を漂わせる。

 8日に愛媛県西条市で行われた成人式に参加した。同世代でプロ野球選手はただ1人。しかも高卒1年目に4勝を挙げているだけに、一番の注目を集めてもおかしくない状況だった。

 しかし会場では…。「野球部の友人たちと写真を撮っただけで、周囲から記念撮影をお願いされたりとかはなかった」と打ち明けた。さらに見知らぬ人からデジカメを手渡され、カメラマン役に徹していたと言う。年末年始に帰省した際、1年目のオフは友人や近所の人からお願いされたサインを書き終えるのに1週間かかったが、2年目の今オフはたった1日で終了。夢見る20歳の若虎にとって現実はあまりにも残酷だった。

 昨季はわずか2試合の先発で未勝利、防御率は6・14と低迷。右肩のコンディションが思わしくなく、1月の自主トレで投球練習ができず、2軍スタート。この出遅れが最後まで響いた。「去年の今ごろは投げられなかった。今年はその反省を生かしてしっかりしようと思ってます」と前を向く。

 この日は80メートルの遠投を行い、短い距離で力強いボールを投じた。すでに故郷で2度、ブルペン入りして立ち投げを行ったという。「年末まで(豪州で)投げていたので、肩はまったく問題ない」。16日にも鳴尾浜でブルペン入りする予定で「投げているところを見てもらって、1軍の沖縄に行きたい」と闘志を燃やす。

 新人合同自主トレを視察していた和田監督ともあいさつを交わし、豪州ウインターリーグのレベルなどについて質問攻めを受けた。成人式の屈辱をバネに、3年目の巻き返しを目指す。

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