二神一人投手 球団職員になっても思いは一つ 「優勝を見てみたい」

 今オフ、18選手が阪神を退団した。新たな人生にチャレンジする虎戦士の思いを伝える。二神一人投手(29)の決意とは-。

 投手として戦ったプロ7年間の悔しさと、“第2の人生”への希望が入り交じる。年の瀬が近づき、二神はもう一度初心に帰って自らが歩んできた足跡をたどった。「優勝を見てみたいですね」。ユニホームを脱いでも、大好きな野球とはつながっていたかった。

 10月1日。球団から兵庫県内のホテルに呼ばれ、戦力外通告を受けた。同時に、球団職員としての採用の打診を受けた。「素直にうれしい気持ちはありました」と前向きに捉えたが、すぐに後悔の念が襲う。09年度ドラフト1位で縦ジマに袖を通したのに、1勝もできずに終わってしまう。期待されてプロ野球の世界に入ったのに…。恥ずかしかった。

 「負い目を感じてしまうというか。難しいんですけど、1勝もできずに終わってしまったことが少し気になっていました。ドラフト1位で入ったので…」

 7年間で27試合に登板して0勝3敗、防御率5・31。決して胸を張れる数字ではない。それでも、球団は職員としての道を準備してくれるという。「『一緒に頑張ろう』というお言葉をいただきました。もう、ありがたいという一言です」。チーム付広報部への配属が決まった。

 早速、高知・安芸で行われた秋季キャンプから“研修”を開始。初めはぎこちなかったが、「一番大事にしないといけないのは選手との距離」と独自のコミュニケーション法を実践。自身の経験を踏まえながら仕事を進めていくと、ある改善点が浮き彫りになった。

 「若い選手には教育をしないといけないと思います。マスコミへの対応やファンサービスについてですかね。自分があまり意識してやってこなかったのもあるんですけど、ベストパフォーマンスするためには必要なこと」

 芽吹き始めた若手が100%のパワーでプレーできる環境づくり。サポート役に回った今、その力が試される。

 プロ7年間での一番の思い出は1回2/3を無失点に抑え、初ホールドを記録した14年5月6日・中日戦(ナゴヤドーム)。「緊張感がある場面で数字を残せたことが、一番心に残っています」。鳴尾浜で藤井、日高の捕手陣にアドバイスを求め、結果につなげた。

 「悔しさもありますけど、現役の時に一緒に汗を流してきた仲間もたくさんいますし、今は『頑張ってほしい』という気持ちです」

 かなわなかった夢は、共に戦ってきた同志に託す。まだ見ぬ日本一へ思いは一つだ。

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