西岡3番三塁で出陣「恩を返したい」

 「阪神-中日」(27日、京セラ)

 プロ野球は27日、セ、パ両リーグともに開幕する。開幕戦で中日と戦う阪神は26日、京セラドーム大阪で前日練習を行い、本番に備えた。3番・三塁でスタメン出場する西岡剛内野手(30)は表情に「プレッシャー」を隠さず、緊張感を漂わせた。紆余(うよ)曲折を経て、三塁手としてプロ13年目のシーズンを迎える背番号7が和田監督とチームへの恩返しを誓った。

 西岡の口元は平田ヘッドコーチのジョークにピクリともしなかった。「皆さん、清水のコメントはいりませんか?田上もいるよ。関川コーチの取材はどうかな。なあ、剛!」。練習を終えた選手が一斉に一塁側ロッカールームへ引き揚げた。担当記者でごったがえす通路で、開幕直前の緊張感をほぐすように参謀が陽気にムードメーク。周囲は笑いに包まれたが、20人近い報道陣に囲まれた背番号7は真顔のままだった。

 「緊張は当日になってからだと思う。毎年開幕の日はモチベーションも高いし、いい緊張感の中で、地に足をつけることが難しい日だと感じる。今年はしっかり結果を求められる1年になる。非常にプレッシャーが多いけれど、その中で結果を出さなければいけないという気持ちは強い」

 言葉とは裏腹だった。出陣を前に西岡の心は既に張り詰めていた。本人はその理由を「重圧」だという。

 ここまで紆余(うよ)曲折があった。昨季の開幕カード巨人戦で福留と衝突し、選手生命を脅かす重傷を負った。以来、二塁を上本に譲り、オフは追う立場を自覚した。上本との共生を求める和田監督から再三、三塁コンバートを打診されたが、これを固辞。「二塁で勝負させてください」と競争を志願した。沖縄キャンプで三塁守備に就いたのは4度目の説得を受けた後。キャンプ打ち上げ日のたった1日だった。

 不慣れなポジションだけに猛練習を積まなかった代償はプレシーズンマッチでもろに出た。昨年11月に手術した右肘の回復が遅れたことで打撃にも影を落とし、調整不足に拍車がかかった。三塁で出場したオープン戦10試合で2失策。打率・152で、本意とは程遠い試運転だった。

 「(三塁守備は)初めてのことでプレッシャーもあるし、慣れない場所でやるというプレッシャーもあるけれど、そこで使ってもらえるという監督の起用や、チームにしっかりと恩を返したい」

 悲願の鍵を握る男は3番・三塁で出陣する。自ら選んだイバラの道。143試合で一切の逃げ道を断ち、恩を結果で返す。

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