「天皇杯・決勝、町田3-1神戸」(22日、国立競技場)
決勝が行われ、町田が神戸に3-1で勝ち、初優勝を果たした。前半にFW藤尾翔太(24)が、GKと競り合いながらクロスを押し込んで先制。さらにFW相馬勇紀(28)が加点し、後半には藤尾のミドルシュートで突き放した。神戸の反撃を1点に抑え、J1昇格2季目で初の国内主要タイトルを獲得した。黒田剛監督(55)は就任3年目での栄冠に目を潤ませた。神戸は2連覇を逃し、今季は国内無冠に終わった。
主将の昌子が誇らしく優勝カップを掲げる。開幕前に「タイトル獲得」という目標を掲げ、有言実行を果たした青の軍団が歓喜の時を迎えた。1989年にトップチームが誕生してから初の戴冠。10年前はJ3だったクラブが急成長を遂げ、頂点に立った。
不振のエースが優勝に導いた。FW藤尾が前半6分に先制点を奪うと、2-0の後半11分にはダメ押しの3点目。昨季はチームトップの9得点も、今季はここまでリーグ戦3得点と苦しみ「今季の評価を上げるのは今日しかない」と覚悟を持って臨み、大会5得点で得点王に輝いた。
サイバーエージェントの藤田晋社長がクラブの社長に就任した22年12月からチームは急速な変化を遂げた。トップチーム人件費は前年度の約2・4倍の18億円超に。高校サッカーの名将・黒田監督を招聘(しょうへい)し、23年にJ2優勝。昨年はシーズン途中にFW相馬、DF中山といった日本代表コンビの大型補強に成功し、リーグ3位と躍進した。
23年から町田に所属する藤尾は「メンバーもすごい変わった。そこに食らいつくのも結構しんどかった」という。16年からのチーム最古参で41歳のFW中島は「ついていけてないですね」と苦笑いを浮かべるほどの成長スピードだ。
最初は“異端”なサッカースタイルに批判の声もたくさん浴びた。特に黒田監督が高校サッカーでも志向していたロングスローを多用する戦法にネットでは批判的な意見が集中。だが、いまやロングスローを投げるクラブは珍しくない。タイトルを手にし、黒田監督も胸を張り、こう話した。
「脅威と思っているから志向する。勝利を突き詰めたことは間違いではない。ロングスローも、ぶれるのではなく、世界に通用する特徴、特技にしていくのも日本サッカーだと思う」
重責を背負ってきた昌子は「本当にかけがえのない財産」と涙。FC町田ゼルビアの名前が後世に刻まれた。
◆町田ゼルビア 1989年に創立。2012年にJ2に初挑戦し、14、15年はJ3も経験した。18年からIT大手サイバーエージェントが経営に参画。24年からJ1で戦う。チーム名は町田市の木のケヤキ(ゼルコバ)と、花のサルビアを合わせた造語。