国交正常化から60年 日韓代表監督が記念対談 森保監督「仲間のため日本のために戦えるか」 洪明甫監督「 常に代表の使命感を持って」

 サッカーの2002年W杯日韓大会での韓国のベスト4入りという大きな成果は、森保一監督(56)にとって日本の可能性を信じる一つの基準になっているという。韓国の洪明甫監督(56)とチームづくりについて語り合いながら、26年W杯北中米3カ国大会の目標を掲げる中で、2人はW杯決勝で日本と韓国が戦うという未来を思い描いた。

  ◇  ◇

 -2002年W杯日韓大会とは。

 洪明甫「韓国も日本もまずは1次リーグ突破が目標だったと思うし、お互いに果たすことができた。記憶に一番残っているのは16強の試合。同じ日に先に試合をした日本は残念ながら負けてしまった。その直後に当時のヒディンク監督が選手を集めて緊急ミーティングを開いた。選手心理としては、日本が負けたことで自分たちも負けても大丈夫じゃないかと(なる可能性があった)。監督はもっと上を目指すんだと強く訴え、モチベーションにまた火が付いた」

 森保「両国にとって非常に意義深いW杯だった。共催で国と国が協力し合って大会を成功させる先駆けとなった。韓国はアジア代表として誇りになるような戦いをしてくれた。私は当時は仙台に住んでいた。イタリアのキャンプ地で、サッカーを知らない人たちもイタリア代表のバスが通ると盛り上がっていた。違う価値観を認め合いながら試合が繰り広げられるという素晴らしいものを、日本と韓国でできたことは本当にうれしい経験」

 -現役引退後はともに指導者の道へ。

 洪明甫「私は選手のチームへの姿勢を最も重要視する。大衆が好きなのはスターや人気がある選手だと思う。しかし結局は、選手時代の森保さんのような献身的にプレーできる選手がチームを勝利に導く。ユニホームの背中にある自分の番号や名前のためにプレーすることももちろんある。でも前には代表のエンブレムがある。その使命感を持って戦うことが大事だと分かってほしい」

 森保「『和をもって貴しとなす』という(考えで)組織的に戦って試合に挑むチームづくりをしている。選手に問いかけているのは、常にチームのために、仲間のために、日本のために戦えるか。それが根幹にありながら、お互いを尊重し合えるように「和して同ぜず」ということをやっていけるか」

 -26年W杯の目標は。

 森保「W杯優勝を目指して挑む。これまでの成績からすれば「何を寝言を言っているんだ」と言われるかもしれないが、不可能なことはないと思っているし、最高の景色を見たい。そのように思えるのは、自分たちの積み上げはもちろんだけど、02年W杯で韓国がベスト4に行ってくれたから。あの光景を見て(日本も)絶対できるという思いがある。アジアを引っ張っていく仲間の韓国と決勝の舞台で当たるようなことが、近ければ次のW杯で、(あるいは)いつか未来にできると本当にうれしい」

 洪明甫「韓国が今まで見たことがないところに行くこと、目指すことが私のミッション。16強以上が一つの目標になると思うが、大会までに組織的にもメンタル的にも強いチームをつくることが役目。韓国と日本がW杯決勝の舞台でいつか戦う姿はぜひ私も見てみたいし、実現させたいと思う」(敬称略)

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