【福西崇史 熱血EYE】新システム3ボランチが奏功 田中と守田の連動は完璧

 「W杯アジア最終予選、日本2-1オーストラリア」(12日、埼玉スタジアム)

 日本が2-1でオーストラリアに競り勝った。予選初先発のMF田中碧(23)=デュッセルドルフ=が前半に先制ゴールを決め、1-1の後半にオウンゴールで勝ち越した。これで対戦成績は日本の10勝9分け7敗。ここまでB組で1勝2敗と苦しんできた森保ジャパンにとって、大きな1勝となった試合をW杯2大会出場の元日本代表MF福西崇史氏(45)が分析した。

  ◇  ◇

 勝ったのは大きい。同点にされて相手に勢いを奪われ、どうなるかと思ったが、日本は最後まで全員に「前から前から」という姿勢があった。1-1で終わるのと2-1では全然違う。どんな形であれ勝ったことで、今後の対戦相手に「やはり日本は強い」と印象づけられた。これが引き分けで終わってしょんぼりしていれば、そのままズルズルと敗れ去るところだった。

 日本は田中、遠藤、守田の3人のボランチを起用した新システムが機能した。両サイドバックが高い位置を取ろうとするオーストラリアの攻撃に対して、日本は左右の守田と田中がしっかり対応した。3人がボールサイドにスライドすることで、2人で中央を守る形になり、相手FWに縦パスが入るのをうまく防ぐことができた。

 逆に攻撃は、例えば左サイドなら守田がいることで、長友と南野とのいい関係性、距離感ができ、長友が攻撃に参加しやすくなった。これは本当なら相手のオーストラリアがやりたかった形だ。

 日本の先制点は南野の左サイドからのパスが、右の高い位置にいた田中につながって生まれた。田中があれだけ高い位置にいられたのは遠藤、守田とうまくバランスが取れていたからこそで、森保監督の狙い通りだっただろう。

 短期間での今回のシステム変更は、この3人だから可能だった部分もあると思う。田中と守田は川崎でチームメートだったこともあり、どちらかが攻め上がれば、逆サイドが守るという連動が完璧にできていた。守田はそれほど目立っていなかったかもしれないが、攻守の両面で貢献できていた。

 4試合を終えて、チームも見ている側もやはり最終予選は簡単ではないと再認識したと思う。本当に勝負は紙一重で、それを勝ち取っていかなければならないのがW杯予選だ。オーストラリアに勝つことはできたが、今後、引き分けも許されない状況は何も変わっていない。選手たちはこの危機感を持ちながら、一人一人がベストに近い状態を保って11月の2試合を迎えてほしい。(02年日韓、06年ドイツW杯日本代表=デイリースポーツ評論家)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

サッカー最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    スコア速報

    ランキング(サッカー)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス