愛媛無念の0-0…J1昇格の夢消えた

 「J1昇格プレーオフ・準決勝、C大阪0-0愛媛」(29日、ヤンマースタジアム長居)

 愛媛のJ1昇格への夢はついえた。レギュラーシーズン4位・C大阪を相手に果敢に攻めたが、ゴールを奪えずスコアレスドロー。規定により、引き分けの場合はリーグ戦上位チームが勝者となるため、5位の愛媛は敗退となった。3位・福岡は1-0で6位・長崎を下して決勝進出。福岡-C大阪の決勝は12月6日にヤンマースタジアム長居で行われ、勝者が来季J1に昇格する。

 夢をかけた総攻撃だった。後半ロスタイム。愛媛の選手たちは最後の力を振り絞り、相手ゴールに襲いかかった。左サイドでCKを得ると、GK児玉もゴール前に駆け上がる。しかし、ネットを揺らせない。長居の夕空に響いた無情のホイッスル。J1への挑戦は、スコアレスドローで幕を閉じた。

 ピッチに倒れ込む選手たちに、客席をオレンジ色に染めた約2000人のサポーターから温かい拍手が降り注いだ。エースFW河原は言う。

 「勇気を持って、愛媛らしいプレーができた。誇りに思う」

 日本代表経験者をズラリと並べるC大阪を相手に対し、持ち味のハードワークで対抗した。後半は劣勢が続いたが、懸命の守備で耐えた。「チャンスを決めきれなかった。そこが足りなかった」。DF西岡は唇をかんだ。

 就任1年目の木山隆之(たかし)監督(43)の下、昨季19位のチームは躍進した。専用の練習場を持たず、松山市内の数カ所のグラウンドを転々とする日々。昨年度の営業収益5億7600万円はJ2の22クラブ中、20番目。今季のホーム平均観客動員は3771人で、これも下から3番目だ。

 しかも今年1月にはクラブの粉飾決算が発覚。危機的状況でスタートした1年だった。そんな地方クラブが、J1昇格がはっきりと見える場所に立った。

 すでに来季続投が決定している木山監督は言う。「われわれには足りない物がたくさんある。でもコツコツと努力を積み上げ、来年もこの場に立てるようにチャレンジしたい」。苦い経験を力に変え、再び夢に向かって一歩を踏み出す。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

サッカー最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    スコア速報

    ランキング(サッカー)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス