柿谷“森島超え弾”もC大阪無念V逸

 「J1、C大阪1‐2鹿島」(30日、長居)

 C大阪は日本代表FW柿谷曜一朗(23)の今季19得点目で一時は同点に追い付いたものの、鹿島に1‐2で敗れ、優勝の可能性が消滅した。首位の横浜Mは新潟に0‐2で敗れ、優勝争いは12月7日の最終節に持ち越された。2位広島は湘南を1‐0で下し、逆転優勝に望みをつなぎ、3位鹿島も数字上の可能性は残した。大分を1‐0で退けた川崎のFW大久保嘉人(31)は得点王を決定付ける今季26点目を挙げた。

 日が傾いた長居の寒空にV逸を告げる笛が鳴り響いた。目の前の現実を受け止め切れないのか、FW柿谷はその場に立ち尽くし、両手を膝に付いてうなだれた。逆転優勝へ勝利が絶対条件だったホーム最終戦でセットプレー2発に沈み、鹿島に対してリーグ戦6連敗。「勝ち点3が欲しかった。勝つだけだったんで」。柿谷はうつむいたまま声を絞り出した。

 息をのむような美しいゴールだった。1点を追う前半38分、MF山口のクロスをペナルティーエリア内でトラップすると、浮き球で左へ持ち出し右足アウトサイドでゴール右隅に流し込んだ。クルピ監督が「歴代のJリーグの中でも一番美しかった」と最高級の賛辞を贈った同点ゴール。スタンドから欧州クラブの代理人らが見つめる前で、元日本代表の森島寛晃氏が98年に記録した、クラブの日本人J1シーズン最多得点記録を超える今季19得点目を刻んだが勝利には結びつかず。「勝てなかったんで何の意味もないです」と喜べるはずもなかった。

 詰め掛けた今季最多3万6361人に、今季限りで退任する指揮官が打ち立てた攻撃サッカーの集大成を披露した。相手を上回る15本のシュートを放ちながら1点のみと、決定力だけが足りなかったが、指揮官は「スペクタクルなゲーム」と選手をねぎらった。

 クラブのエースナンバーである背番号8を背負った今季、柿谷は常に優勝を公言し続けてきたが、頂点にあと一歩届かず。またもチームは無冠に終わった。「勝つだけだったんで」。何度も繰り返した言葉には悔恨が詰まっていた。

 チームは6位に後退したものの、他力とはいえACLの可能性は残されている。まだシーズンは終わっていない。「勝つだけなんで」。柿谷は最後にもう一度つぶやいた。

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