ボクシング事故対策、過度な減量で“転級強制ルール”導入は見送り「脱水増える懸念も」「たくさんの選手が動揺」再発防止策は検討継続へ

 理事会後に会見した日本プロボクシング協会の(左から)小林昭司会長、柳光和博健康管理委員長、加山利治事務局長
 理事会後に会見した日本プロボクシング協会の(左から)小林昭司会長、柳光和博健康管理委員長、加山利治事務局長
 緊急理事会後に取材対応する(左から)JBPAの小林協会長、柳光健康管理委員長、加山事務局長
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 今月プロボクシングの試合中の事故で2選手が相次いで急性硬膜下血腫で死去したことを受け、各ジム会長から構成する日本プロボクシング協会(JPBA)と東日本ボクシング協会は20日、都内で臨時理事会を開いた。約3時間半の協議で、早急な安全対策としてKO(TKO)負けした選手に対する90日間の出場資格停止処分を厳格化し、CT検査を受けた場合に60日間に短縮できるルールを撤廃することを正式決定。また、「水抜き」などの過度な減量を抑制するため、前日計量から当日体重が10%以上増えた選手に転級を命令するルールづくりなどを検討していたが、導入は見送った。

 協会は競技を統括する日本ボクシングコミッション(JBC)との会合を経て、「水抜き」などの過度な減量を抑制するため、試合当日のいわゆるリカバリーが10%以上増えた選手に次戦以降の転級を強制するルールづくりなどを検討していたが、導入には至らなかった。現状として、世界王者も含めた日本の少なくないトップ選手の中にも10%以上のリカバリーを行っているボクサーもおり、ルール整備は競技の根幹を揺るがす大きな課題をはらんでいた。

 JPBAの柳光和博健康管理委員長(53)は「(転級を)強制するとリカバリーを控えて、脱水の選手が増える懸念もある。現状、(転級命令の報道で)たくさんの選手が動揺している」と報告。ただ、水抜きの影響を調べるハイドレーションテストなどは試験的に導入し、データ採集や分析、対策は引き続き検討を続けるといい、加山利治事務局長(53)は「もうちょっと時間をかけて検討していきたい」と慎重姿勢を示した。

 また、興行ごとに自前の救急車を常駐で配備することを検討しているが、民間救急車の場合、公道を緊急走行できない可能性があるなど課題も見つかった。医療機関との連携も含めて、最も早い搬送や治療ができる体制を検討するという。また、今後は各興行の全試合終了まで、協会委員が必ず会場に常駐することを決めた。

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