重岡銀次朗が引退へ 緊急開頭手術で事実上現役続行不可能に 24日試合後「急性硬膜下血腫」診断 現在もICUで経過観察中

 タドゥランに敗れ、担架で運ばれる重岡銀次朗=24日
 ペドロ・タドゥランとの試合後、苦しそうな表情の重岡銀次朗=24日
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 日本ボクシングコミッション(JBC)は27日、大阪市のインテックス大阪で24日に開催されたボクシングのIBF世界ミニマム級タイトルマッチで判定負けした後、意識を失って救急搬送された前王者の重岡銀次朗(25)=ワタナベ=が「急性硬膜下血腫」と診断され、試合直後に緊急の開頭手術を受けていたと発表した。現在も大阪市内の病院で集中治療室(ICU)に入っており、麻酔で眠っている状態で経過観察中だという。開頭手術を受けたことで、JBCの規定により現役続行は事実上不可能となった。

 救急搬送されていた重岡の状況が明らかになった。JBCの安河内剛本部事務局長が都内で取材に応じ「急性硬膜下血腫」と診断され、その日のうちに開頭手術を受けたことを報告。現在も麻酔の影響で眠っており経過観察中だが、詳しい容体が分かるには1週間ほどかかる見通しで「朗報を期待しているが、時間がかかるかもしれない。(重岡の)無事を祈るしかない」と沈痛な面持ちで語った。

 重岡は王者ペドロ・タドゥラン(フィリピン)と12ラウンドを戦い抜いたが、判定を聞いた後にコーナーの椅子に座り込んで動けなくなり、意識を失った。安河内氏によれば、目をつぶって呼びかけに反応せず、体が斜めに傾くなどの異変がみられた。控室でも会話はできず、意識が戻っていないという。

 日本ボクシング界では、2023年12月に行われた日本バンタム級タイトルマッチの直後、判定負けした穴口一輝が意識不明となり、救急搬送されて右硬膜下血腫と診断された。開頭手術を受けたが、約1カ月後の24年2月2日、23歳の若さで帰らぬ人となった。

 JBCとしても再発防止策を案じてきたが、今回はダウンシーンもなく、一見して止めるタイミングがない試合展開だっただけに、安河内氏は「原因がわかりづらい試合だった。大きなパンチをもらっていなかった。(判断の)難しさを感じる」と肩を落とした。それでも、今後も世界戦興行が立て続けに予定されているだけに「僕らは(実際に起きた)結果を受け止めるしかない。今日も試合があるし、どんどん続いていくので、一つのミスも許されないという形でやるしかない」と声を絞り出した。

 ◆重岡 銀次朗(しげおか・ぎんじろう)1999年10月18日、熊本市出身。小学4年からボクシングを始め、開新高で高校5冠を達成。2018年にプロデビュー。23年4月にIBF世界ミニマム級暫定王者となり、同年10月の同王座統一戦に勝利して正規王者となる(記録上は初防衛)。24年7月の3度目の防衛戦でタドゥランに敗れ、王座陥落。兄は元WBC世界ミニマム級王者の重岡優大(28)=ワタナベ。身長153センチ。左ボクサーファイター。

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