【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】人事配置で大事なのは「この配置が会社にとって良い流れを生むかどうか」
にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。
【相談】 西村さんは人の配置、人事をどのような方針、お考えの元で決めていらっしゃいますか。わたしは現在、ある菓子メーカーで営業部門を統括しています。ライバル社がひしめき、原材料価格の高騰もあって値上げもやむを得ず、売上が伸びません。思い切って製造部門との人事交流を提案してみようとも思っていますが「適材適所」となるのかどうか。20代で起業して渋谷に30億豪邸を建てた「西村流」にとても興味があります。よろしくお願いします。
【回答】 ご相談ありがとうございます。菓子メーカーで営業部門を統括されているとのこと、日々のご苦労が伝わってきます。ライバルの多い業界に加え、原材料費の高騰、販売価格の見直し、加えて売上プレッシャーと、本当に難しい環境の中で戦っておられるのだと思います。
そうした中で、製造部門との人事交流を検討されているというのは、非常に前向きで本質的な視点だと感じました。現場を知る人間が、別の角度から物事を捉える経験を積むことは、組織全体の理解と連携を深め、結果的に業績にもつながっていく可能性を持っています。
私が人事配置について考えるとき、重視しているのは「適材適所」という言葉の中にある、“適所とはどこなのか”という定義です。これは単に「今いる場所でうまくやれているか」ではなく、「この人が現状の配置で能力を使い切ってしまっていないか」「この人の力が、別の環境でより強く発揮される可能性はないか」という観点から見ています。力を持て余している状態が最ももったいない。人は、少し負荷がかかる場所、未知の環境に出たときに大きく伸びるものです。
また、異なる部署同士の交流は、視野を広げるだけでなく、業務上の“無意識の非効率”を洗い出す上でも極めて効果的です。営業経験者が製造を知れば「どの工程が売れ行きに影響を与えているか」が具体的に理解できる。逆に、製造現場の人間が営業の現場に立てば、「品質のこだわりが、どこでどう伝わっているか」が肌感覚でわかるようになる。こうした相互理解は、短期的な業績以上に、組織の底力を育てると私は考えています。
もちろん、人事には感情的な面も伴います。異動はストレスでもあり、期待が逆にプレッシャーになることもある。だからこそ、ただの「配置転換」ではなく、その人の未来にとって意味のある経験となるよう、本人との対話を重ねながら進めることが不可欠です。私はいつも、「その人が次の10年をどう生きていくか」に資するかどうかを判断軸にしています。
人事配置において何より大事なのは、「この配置が会社にとって良い流れを生むかどうか」を冷静に見つめることです。一人の成長が、全体に波及する。その可能性を信じて投じる一手には、組織を前向きに変える力があります。
私自身、20代で起業してから数多くの人と向き合ってきました。成功も失敗も、人に集約されると言っても過言ではありません。人の可能性を信じること、環境によってその力を引き出すこと、それが私にとっての「人事」です。
現場に近いご相談者様だからこそ、見えているものがあると思います。会社の未来のために、ぜひ一歩踏み出してみてください。
◇西村誠司(にしむら・せいじ) 1970年生まれ、愛知県出身。「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万人。