【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】ひきこもりの子が生きる力を身につけるための場所があれば

 にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。

 【相談】 息子が不登校や激しい反抗期を経てやっと落ち着き、高校を卒業して専門学校に入学しました。けれども人間関係でうまくいかないようで少しひきこもりになっています。このままでは良くないと本人は分かっていても具体的にどうすればいいのか分からず、周りもどうしていいのか分かりません。どうにか乗り切ってほしい壁なのですが。難しい問題かもしれませんが、こういう子たちが成長するための、生きていく力を身につけるための場所を作ってくださればありがたいです。助けを求めてもなかなか場所がないのです。お悩み相談というよりお願いのようになってしまいました。

 【回答】 ご相談をお寄せいただき、ありがとうございます。息子さんが不登校や反抗期を経て、高校を卒業され、専門学校へと進学されたこと。まずその歩みを、心から称えたいと思います。ご本人にとっても、ご家族にとっても、決して簡単な道ではなかったはずです。そこにしっかりとたどり着かれたことは、それだけで大きな一歩です。

 そのうえで、専門学校での人間関係がうまくいかず、再びひきこもり気味になっている。ご本人も「このままでは良くない」と感じているけれど、どう行動していいのか分からない。これは決して珍しいことではありません。むしろ、“壁にぶつかっている”ということ自体が、前に進もうとしている証拠だと私は思います。

 私がこれまで多くの事業や人材育成に関わってきたなかで強く感じるのは、「人が育つ場所」には共通点があるということです。それは、“安心して自分を出せる環境”があるかどうかです。評価される前に、否定される前に、自分のままでいられる時間や場所。そうした“受け皿”があれば、人はゆっくりと、でも確実に前に進んでいけます。

 おっしゃる通り、今の社会には「助けを求めてもたどり着けない」「居場所がない」と感じる人が多くいます。特に10代後半から20代前半というのは、社会にも家庭にも自分の居場所が見いだしにくい時期です。この「空白の時期」を支える仕組みが、まだまだ足りていない。私自身も、そこは大きな課題だと感じています。

 私たちは医療や通信といった領域で事業を展開してきましたが、「人を支える」という本質はどの分野でも同じです。社会の中で孤立しがちな若者たちに、何かしらのかたちで機会や環境を提供できないか。そうした場所づくりについては、これまでも社内で何度か議論してきました。ご相談を受けて、あらためてその必要性と責任を感じています。

 ただ、大がかりな仕組みを待たずとも、まずできることはあります。それは「誰か一人でも、自分を信じてくれている人がいる」と本人が感じられることです。家庭での何げない一言や、否定しない姿勢、話を聞く時間が、最初の“居場所”になることは少なくありません。そしてその小さな安心の積み重ねが、外の世界への一歩につながっていきます。

 ご相談者様の「なんとか乗り越えてほしい」という思い、そして「お願いのようになってしまいました」というお言葉に、私は強い優しさと責任感を感じました。大切な人の未来を信じて願う気持ちは、何よりも強い力になります。その思いに、私たちも何らかの形で応えていきたいと考えています。

 ありがとうございます。しっかり受け止めました。私たちにできること、模索しながら前に進んでいきます。応援しています。

 ◇西村誠司(にしむら・せいじ) 1970年生まれ、愛知県出身。「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数6万1000人。

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