【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】お米が高くて困る…親戚の米農家を手伝うのもアリか
にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。
【相談】 お米が高くて困ってます。うちは上は高校2年、下は小学5年の子供がいてめちゃくちゃ食べます。10キロなんてすぐになくなっちゃいます。実は親戚に米農家がいて、高齢ということもあり廃業することを考えているらしいんです。あまり親しい付き合いはしてこなかったのですが、わたしはパート勤めの主婦なので、思い切って親戚の米農家を手伝うのもアリかなと最近考えています。で、お米を確保しつつ収入も得られたらと。西村さんは農業の未来をどのように考えていますか?あと、西村さんがビジネスとして農業も始めるとしたらどういったことを基準に乗り出す、乗り出さないを決めますか。
【回答】 ご相談ありがとうございます。食べ盛りのお子さんが二人もいる中で、毎月10キロ単位でお米が減っていくというのは、家計にとって本当に大きな負担ですよね。生活の中で「食」が占める比重は大きく、特に物価の上昇が続く今、食費のやりくりに悩むご家庭は少なくないと感じています。
そんな中で、親戚の米農家の方が廃業を考えていると知り、手伝うことを視野に入れておられるとのこと。それは非常に前向きで、現実的な発想だと思います。ご自身が主婦でありながら、「自分が動くことで環境を変えよう」と考えている姿勢に、私はとても強い可能性を感じました。
私が農業という産業をどう捉えているかというご質問にお答えすると、「農業には大きな未来がある」と確信しています。食は生きていくうえで絶対に必要なものですし、日本のように自然に恵まれた国では、本来もっと“強み”として活かせるはずです。ただ、現実には担い手の高齢化や後継者不足、収益性の低さなど多くの課題があり、それによって多くの農地が失われつつある。これは単なる経済の問題ではなく、社会インフラとしての危機だと私は捉えています。
もし私がビジネスとして農業に乗り出すなら、いくつかの基準があります。
①「スケールできるかどうか」→単に栽培するだけでなく、生産・加工・販売まで含めて“仕組み化”できるかどうか。小規模での自給的農業ではなく、事業として成立させるにはこの視点が欠かせません。
②「テクノロジーの導入余地があるか」→農業こそ、自動化・IT化・データ化によって大きく変わる可能性を持っています。従来のやり方だけでなく、効率化できる手段があるかを必ず見ます。
③「持続性があるか」→一過性のトレンドではなく、10年、20年と続けていける構造になっているか。特に人材育成や地域連携がポイントになります。
ただ、ご相談者様のように「お米を確保しつつ、多少でも収入を得たい」という場合には、事業としての採算性よりも「生活を支えるリアルな選択肢」としてどうかが大切になります。農業は体力を使いますし、季節や天候にも左右される大変な仕事です。ただその分、食を自分で守ることができるという確かな手応えがあります。親戚との関係性を見ながら、無理なく関われる範囲でスタートするのは良い選択だと思います。小さな一歩が、やがて大きな価値に変わる可能性も十分にあります。
農業はこれからの時代、ただの「生産活動」ではなく、「暮らしの延長」であり「地域とのつながり」でもある。ぜひ、ご自身のペースで関わりながら、その価値を感じていただけたらと思います。応援しています。
◇西村 誠司(にしむら・せいじ) 1970年生まれ、愛知県出身。「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数6万8000人。