【野球】「変わらなければ、今年で終わりだから」“最後通告”されクビ覚悟も期限間際にヤクルトにトレード決定 近藤一樹さん
先発、中継ぎとして近鉄、オリックス、ヤクルトで19年の現役生活を送った近藤一樹さん(42)。右肘手術を乗り越え、プロ14年目の2015年には1411日ぶりとなる復活勝利をつかんだが、その後も安泰ではなかった。開幕から先発ローテーションに入りながら状態が上がらなかった16年、近藤さんは球団関係者から“最後通告”を突きつけられた。クビを覚悟するほどの瀬戸際に立たされたが、トレード期限直前にヤクルトへの移籍が決まった。
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4年連続して右肘手術を受け、育成契約でのスタートとなった2015年。近藤さんは開幕間もない4月28日に支配下登録され、3度目の先発登板となった7月12日の楽天戦で結果を残した。
「内容はそんなによくなかったんですけど、でも勝てた。神がかったような感じがしたというか、不思議な日でした。夏場は汗がじゃまして気が散るんですけど、真夏の仙台でめっちゃ暑かったのに、なぜか汗を全然かかなかったんです」
6回を投げ8安打3失点の粘りの投球で、11年8月31日以来、1411日ぶりの勝利を挙げた。
ただ、復活勝利を手にしたものの、2勝目をつかむことはできなかった。主に先発として10試合に登板したその年は1勝4敗に終わった。
翌年、近藤さんはまたしても野球人生の危機に直面する。「5月か6月に(先発して)ボコボコにいかれた時に、球団の方に言われたんですよ。“変わらなければ、君はもう今年で終わりだから”って。クビになるんだと思いながら2軍で調整をしましたね」
開幕から先発ローテには入っていた。4月15日の京セラドームでの西武戦では11年8月以来の本拠地勝利を手にしたが、以降は打ち込まれることが多くなっていた。5試合目の登板となった6月11日のDeNA戦では1回5失点KO。“最後通告”を突きつけられたのは、そのころだったという。
7月には報道が先行する形で自身のトレードを知る。だが、ショックはなかったという。
「今年で終わりと言われて自分は一回死んでるんです。だから割り切れたんです。またチャンスが来た、最後のチャンスをもらえたと感謝しました」
トレード期限間際の7月17日、ヤクルトの八木亮祐投手との交換トレード成立が両球団から発表された。背番号は八木投手の70を引き継いだ。
「チャンスをいただけたことに感謝し、活躍することで両球団に恩返ししたい」
トレードに際して近藤さんが発したコメントは偽りのない心境だった。33歳で新天地に旅立った当時を「けんか別れとかじゃなく、行ってきます!みたいな感じでしたね」と前向きな移籍だったと述懐する。
近藤さんを獲得したヤクルトは、08年に10勝をマークするなど、その時点で通算31勝の経験豊富な右腕を、頭数の足りない先発に充てる思惑だったようだが、チーム事情から起用法は想定外の方向になっていった。
「当時のヤクルトは先発ピッチャーが早くノックアウトされるケースが結構あって、ロング(リリーフ)要員がバンバンいってたんです。僕は移籍した年と翌年に2軍で先発調整してた時があるんですけど、1軍のロング要員がいなくなると、2軍の先発投手が補充されてたんです。“もうロングがいないから行ってくれ”となったんです」
これまで主に先発の役割を担ってきた近藤さんは、新天地で中継ぎという役割を与えられ、貴重な戦力として能力を発揮していくことになる。
(デイリースポーツ・若林みどり)
近藤一樹(こんどう・かずき)1983年7月8日生まれ。神奈川県出身。日大三高3年時の夏の甲子園で優勝。2001年度のドラフト7位で近鉄入団。分配ドラフトで05年からオリックスでプレーし、育成契約を経て、16年途中にトレードでヤクルト移籍。18年に最優秀中継ぎ投手のタイトル獲得。20年オフの退団後、四国IL香川でコーチ兼投手として2年間プレーして引退。NPB19年間で347試合に登板、43勝57敗4セーブ、83HP、防御率4・50。現在は野球解説者、立正大立正高野球部など複数校で指導者としても活動中。
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