【野球】履正社→国立・和歌山大→一般企業辞退し日産野球部へ 島龍成が選んだ挑戦「自分たちでチームを作れる魅力あった」

 精鋭たちは明るい表情で飛び立つ時を待っていた。2009年限りで休部し、今年から16年ぶりに活動を再開する日産自動車野球部が17日にチーム体制を発表。OBの伊藤祐樹監督ら首脳陣と22人の選手たちが、同社の乗用車「ブルーバード」にちなんだ青い鳥がデザインされたユニホームをまとい決意を語った。

 そんな青い鳥たちの中に、和歌山大・島龍成投手(22、履正社)の姿もあった。身長171センチと小柄だが、変化球を駆使した巧みな投球とマウンド上の闘志あふれる姿が魅力の左腕。高校時代はソフトバンクのドラフト6位・岩崎峻典投手(東洋大)らが同学年で登板機会に恵まれなかったが、大学では4年春のリーグ戦で最優秀選手賞を獲得するなど主戦として存在感を示した。

 ただ、生まれ育った関西を飛び出してまで野球を継続することは考えになかったことだという。「ずっと関西に住みたいなと思っていて」と、関西を拠点とする社会人野球チームを希望。それ以外の誘いは断っていたが、意中のチームは“辞退者待ち”の状態だった。アピールを狙った昨春の全日本大学選手権では、初戦突破も、先発して3回1/3を2失点で早期降板。2回戦は打球直撃のアクシデントを乗り越え7回1失点と力投したが、惜しくも敗戦となった。

 「オレの野球人生終わったと思って…」と苦笑い。実際に「野球をやめるつもりでした」と一般の就職活動に切り替え、最終的には建築関係の大手企業から内定も得た。

 「内定承諾書も出してしまっていました」という島の心を動かしたのは、日産自動車野球部が積み重ねてきた歴史と伊藤監督の熱意だった。対面とオンラインで2度の面談を行った中で、同部の歩みを紹介する動画を見せてもらい「そこで決めました」と島。「最後の秋までずっと追いかけてくれて、伊藤監督と初めてしゃべった時は本気で復活への気持ちが伝わってきた。(復活後の)1期生として自分たちでチームを作れるという魅力もあったので挑戦してみようと思いました」。家族や恩師にも背中を押され、慣れ親しんだ土地を離れて野球を継続することを決めた。

 同社の業績悪化も取りざたされる中、簡単な選択ではなかったが、「楽しい方を選んでみようと思った」と左腕。さらに、履正社時代のチームメートの大半がプロや社会人で野球を継続しており「自分も頑張らななと。切磋琢磨(せっさたくま)できる仲間がいるなと思っています」と刺激も原動力となっている。

 「再翔」をスローガンに掲げた新生チームの中で目指すのは「勝てる投手」だ。「そのために信頼される投手になれるように。私生活、野球している時の姿勢を、いろんな人に見てもらいたい」。大空高く飛翔するべく、選んだ道を信じて進む。(デイリースポーツ・間宮涼)

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