【野球】阪神・岡田監督が見せた原監督との采配勝負「中途半端が一番アカン」2年前、記者席で語っていた用兵術の鉄則

 「阪神タイガース8-5読売ジャイアンツ」(26日、甲子園球場)

 これはきっと動く-。試合を見ていてそんな予感がした。2点ビハインドの六回2死二塁の場面だ。打席は木浪の打順。ここで原監督が右の船迫に代えて左腕・大江を投入すると、すぐさま岡田監督は代打・小野寺を告げた。

 まだ試合は中盤の六回。巨人のブルペンには左のバルドナード、高梨、中川もいた。継投に入っており、代打の頭数は必要だったが「向こうも左に代えたからね、おーん。だから勝負かけたんや」と指揮官。前の打席で安打を放っていた木浪に右の代打を送る勝負手だった。何としてもこのイニングで1点差まで持って行く-。そんな強いメッセージが込められていたようにも思う。

 小野寺が四球を見極めると、今度はすかさず代打・原口を起用。すると原監督は大江に代えて、右の菊地を投入した。ここで「代えると思わなかった。1、2番が左やからね」と口にした岡田監督。原口が左前にタイムリーを放つと、ベンチで「ヨッシャー!!!」と絶叫し、両手を大きく広げた。

 対照的に原監督はベンチで表情をゆがめた。百戦錬磨の指揮官同士がターニングポイントと考えていたはずの1点。ゲームは阪神が序盤に3点を先制し、六回表に巨人が難敵の大竹を攻略して5点を奪った。“次の1点”をどちらが奪うか。試合の流れを決める上で阪神としては是が非でも取りたかった一方、巨人は是が非でも守りたかった場面。ここが分岐点と考えていたことは、両指揮官の表情が如実に物語っていた。

 七回に桐敷が1死一、三塁のピンチを無失点でしのぐ。その裏、阪神は巨人の小刻みな継投をものともせず佐藤輝の同点適時打、坂本の決勝犠飛、そして小幡のダメ押し打で試合を決めた。試合後、岡田監督は「昨日より今日の方が楽しかったな」と率直な心境を明かす。

 現役時代から阪神、巨人のライバル関係にあり、第一次政権でもしのぎを削り合った間柄。いまだに中日・落合監督と三つ巴で戦ったシーズンは記憶に残っている。07、08年当時は巨人担当だったが、岡田監督VS原監督の壮絶な手の打ち合いは、野球記者としていまだに覚えているほど興味深かった。

 それだけに岡田監督が悔しさをにじませていたのが2年前、甲子園での記者席。2021年6月20日の巨人戦だ。阪神が1点を追う七回2死一、二塁の状況で原監督が中野の打席で左腕・高梨を告げると、阪神ベンチは中野に代打・北條を送った。ルーキーとは言え、レギュラーとして考えている選手をさげてまでの起用。すると原監督はカウント2-2から右の鍵谷を投入してきた。

 結果的に北條は1球で空振り三振に倒れ「中盤からの巨人のガムシャラな采配にベンチが引きずりこまれた印象があるし、原監督と徹底的に張り合うのであれば、カウント2-2から鍵谷に代えてきたところで代打・糸井の選択肢になる」と評論。当時は貯金「20」で首位を独走していただけに「レギュラーとして使うなら、そのまま中野で良かった。何も慌てることはなかった」とも指摘した。

 「だから動くと決めたんなら徹底的に動かんと。中途半端になってしまうのが一番アカン。流れを失ってしまう」と語り、「これは分からんよ」と失速の危険性を口にしていた岡田監督。巨人3連戦に負け越して歯車が狂いだした阪神は、最終的にV逸という形になってしまった。

 あの日、指揮官が語った“勝負の鉄則”を見聞きし、それを実践して勝利を呼び込んだ26日のゲーム。相手の小刻みな継投は好きか?と問われ「いやいや、大好きやわ。こっちは(ブルペンに)コマがおるからな」と岡田監督は明かす。

 決してやみくもではなく、冷静に両チームの戦力状況を分析し、原監督に応戦した指揮官。まるで将棋を見ているかのような“采配勝負”にも思えた。途中出場組が活躍したことは監督冥利につきるか?その問いに岡田監督は「そうやね」。単に打つ、投げる、守るだけではないプロ野球の面白さが垣間見えたゲームだった。(デイリースポーツ・重松健三)

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