【陸上】ホープを支える浪速の肝っ玉母ちゃん

 1月28日の大阪国際女子マラソンで初マラソン日本歴代3位の好タイムで優勝した松田瑞生(22)=ダイハツ=の取材には、もう一人“主人公”がいた。テレビ中継でも大喜びする姿が捉えられていた母明美さん(52)だ。娘のゴールを見届けるとスタンドの応援団に向かって「バンザーイ!」と連呼。松田とは親子漫才さながらの掛け合いを見せた。

 コースの4カ所を移動して大声援を送ったが、当の娘は「どこにおったん?」と気づかず。「あの子言うたら、ホンマに!こんなに声枯れてんのに、どない思う?」。ひるむ報道陣を物ともせずにとマシンガントークを繰り出す“浪速のオカン”。ただ、コテコテの関西弁の中には娘への愛情があふれ出ていた。

 鍼灸(しんきゅう)師の明美さんと松田は、中学時代から常に二人三脚だった。4人きょうだいの次女は3歳で腎盂(じんう)炎が発覚し、約10年の食事制限など苦労があった。「本当に大変だった。府立病院へ毎週通ったし、家族で外食もできなかった」

 現在は克服したが、今でも「寒さに弱いのが切実。苦手とかじゃなく身体的に弱いから」と今レースも気温の低さが気になっていた。「この寒さやから無理やと思った。ポカポカするように」とレース前日には普段は行わないおきゅうを施し、体を温めて送り出した。

 昨年のロンドン世界陸上など海外遠征にも常に付き添ってきた明美さんが忘れられない日がある。大阪薫英女学院高1年の時、仕事の都合で一度だけ試合に付き添えなかった。「泣きながら電話してきたんよ。お母さん、足が痛く走れないってね」。自我が強く「手がかかる子だった」というまな娘は母そっくりの豪快なキャラクター。ただ、その繊細さを最も理解しているのもまた母なのだろう。

 2020年東京五輪代表選考会となるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を得た松田。初マラソンで自国五輪に向けたホープに躍り出た娘の晴れ姿に「さあ、これから大変やわ!」と明美さんも気合を入れ直した。“肝っ玉母ちゃんの戦いもこれから始まる。(デイリースポーツ・船曳陽子)

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