「有馬記念・Ｇ１」（２５日、中山）

　自身のラストグランプリに臨んだ名手が、６番人気の３歳馬ボルドグフーシュの潜在能力を最大限に引き出して２着へ導いた。福永は「素晴らしい状態」とパートナーの仕上がりを絶賛し、「ゲートでおとなしかったので出てくれると思っていたけど、まだ速く出られない。そこは成長待ちですね」と回顧する。

　道中は後方２、３番手でジッと待機したが、３角が勝負どころと見るや大外を一気に進出しながら勝ち馬に迫った。「外を回る形で長く脚を使ってくれた。３着馬は離しているし、きょうに関しては相手が上だった」。結果は悔しい銀メダルだったが、自身の騎乗内容には満足げだ。

　宮本師も顔を紅潮させて大興奮。「力が入ったね。祐一君がラストの有馬記念でいい騎乗をしてくれた。勝ってくれれば良かったけどね。自分としては来年の楽しみが増えました」と手応えをつかんだ様子だった。

　福永は来年２月にステッキを置き、調教師に転身する。公開枠順抽選会では「ＦＦ（フクナガ・ファイナル）」と宣言して臨んだものの初制覇はならず、八大競走コンプリートは夢と散った。しかし、センチメンタルな感情はない。「来年は主役を張れる。これからが楽しみな馬」とパートナーの飛躍を約束。晴れ晴れとした表情に達成感がにじんでいた。