【北村友一コラム】伝えたい感謝の気持ち 悪夢の落馬から1年1カ月 不屈の闘志でいざターフへ

 実戦復帰に向けて強い意気込みを示す北村友(撮影・北村雅宏)
 調教騎乗を再開して汗を流す北村友(手前)
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 21年5月2日の阪神2Rで落馬負傷。長らく戦列を離れていた北村友一騎手(35)=栗東・フリー=が、いよいよターフに戻ってくる。椎体骨折、右肩甲骨骨折という大ケガを負うも、懸命のリハビリを経てたどり着いた自らの居場所。11日中京での実戦復帰へ向け、熱い思い、そして感謝の気持ちを語った。

  ◇  ◇

 ご心配をお掛けしました。今週から競馬に復帰する北村友一です。デイリースポーツのコラムにも帰って来ることができました。

 落馬した4日後、背骨にボルトを入れる手術をして、その後11日間は寝たきりの状態でした。入院中は、復帰するために自分の中でプラスになることをやろうと思い、本を読んだり、YouTubeでいろんな人の話を聞いてモチベーションを高めていました。

 視野を広げた世界観でみれば、僕よりも苦しい思いをされている方は絶対にいるはずなので、視野を広げて自分にできる100%を頑張ってきました。心が折れたり、不安になることは一切なかったですね。

 ご飯を食べること、シャワーを浴びること、歯を磨くこと、寝返りを打つこと-。自分で何もできませんでした。普通だと思っていたことの基準がすごく下がりました。当たり前と思っていたことが当たり前じゃないんだな、と感じましたね。

 デビューからコンビを組ませてもらい、ドバイにも一緒に行ったクロノジェネシスについても話したいと思います。乗り代わってもいつも応援する気持ちでした。他のジョッキーが乗って、いつもとは違った競馬をしたりするのを見ると、“この馬はこうだ”という固定観念をもっと取っ払い、その場の雰囲気、レースの流れで選択肢を多くしていかないと、と実感しました。

 調教騎乗再開は先月の17日。“楽しかった”というのが、素直な感情でした。まず乗せてもらったのがダノンザキッド。安田隆行先生とスタッフの皆さんの計らいに、ありがたいなと思いました。初めにいい馬にまたがると、印象が違ったものになりますからね。調教の騎乗機会を増やして、体力、筋力を戻したかったですし、体に対する向き合い方はさらに高まったと感じます。“ニュー北村”ですね。

 つぶれた骨はもう治らず、背骨の構造も変わりましたが、そこを受け入れて、復帰しても結果を出せるように努力し続けていくだけだなと思います。結果が全ての世界にこうやって帰って来たので、結果を出せるように頑張ります。

 今、一番伝えたいことは『感謝の気持ち』。常に前向きでいられたのは妻の支えがあったからこそ。そして、他にも支えてくださる方々がたくさんいてくれたから。僕一人の力では絶対に帰って来ることはできなかったと思います。「帰って来て良かったなー」と言ってもらえることが本当にうれしい。入院中は多くの人から連絡を頂き、励ましてもらいました。感謝の気持ちを忘れずにやっていきたいと思います。(JRA騎手・北村友一)

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