先週の３日間開催では、２１日の若葉Ｓ・Ｌ（阪神・芝２０００ｍ）に勝ったアドマイヤビルゴ（栗東・友道）、２２日のスプリングＳ・Ｇ２（中山・芝１８００ｍ）で重賞初Ｖを飾ったガロアクリーク（美浦・上原）が皐月賞切符をつかんだ。さらに２０日のフラワーＣ・Ｇ３（中山・芝１８００ｍ）は伏兵アブレイズ（栗東・池江）が勝ち、鞍上の藤井勘はＪＲＡ重賞初制覇となった。

　阪神１１Ｒ・若葉Ｓは１番人気のアドマイヤビルゴが１分５８秒６の好タイムで快勝。１７年当歳セレクトセールで５億８０００万円（税抜き）の高値がついたディープインパクト産駒が、武豊を背に素質の高さを誇示した。ペースが流れるなか、道中は前から離れた３番手。直線に向くとしなやかなフォームで末脚を伸ばし、逃げた１０番人気キメラヴェリテ（２着）を楽にかわして２馬身差をつけた。上位２頭が皐月賞（４月１９日・中山、芝２０００ｍ）への優先出走権を獲得した。

　鞍上の武豊は「強かった。前回と馬が違っていた。２戦目でこれだけのレースができたし、かなりの素質馬。クラシックを狙える馬」と絶賛。皐月賞の優先出走権も獲得したが、名手には同じ路線に主戦を務める僚馬で４戦３勝のマイラプソディもいるだけに、「困りましたね」と苦笑いした。友道師は「ジョッキーのこともあるし、皐月賞に使うのかも含めて相談します」と明言を避けた。「跳びが大きいので東京はいいと思う」と指揮官がダービーを見据えれば、鞍上も「速い時計や硬い馬場に対応できるのも分かった。まだまだ良くなる」と太鼓判。遅れてきた大物は、さらなる飛躍に向けて走り続ける。（採点・★★★★★）

　スプリングＳ・Ｇ２は２２日、中山１１Ｒに１０頭で争われ、６番人気のガロアクリークが、南アフリカのトップジョッキー・ヒューイットソンに導かれ、重賞初制覇を決めた。道中は中団で末脚を温存。直線外から力強く伸びると、内でしぶとく食い下がる１番人気のヴェルトライゼンデ（２着）を競り落として、１馬身１／４差をつけフィニッシュした。勝ちタイムは１分４９秒８。さらに１馬身３／４差の３着には２番人気のサクセッションが入り、この上位３頭が皐月賞の優先出走権を獲得した。

　引き揚げてくると、ヒューイットソンは出迎えた上原師とがっちり握手をして、喜びを分かち合った。祖国である南アフリカでの活躍が認められ、短期免許で今年初来日。４度目の挑戦でＪＲＡ重賞初制覇を飾った２２歳の若武者は「日本のＧ２を勝ててすごく光栄。大きなレースへ一緒に行けるのが、うれしい」と、指揮官よりも先に皐月賞挑戦を明言した。

　「いい感じだったね。ジョッキーもいい感触を持って、自信を持って乗ってくれた」と、上原師は絶妙のコンビネーションを勝因に挙げた。「以前は子どもっぽかったが、レース慣れしてすごく落ち着いてきた。３着だけは外さないでと、きつくジョッキーに言っていたけど、褒めたいですね。本番もこのまま行きます」とコンビ続行を明かした。（採点・★★★★☆）

　フラワーＣ・Ｇ３は２０日、中山１１Ｒに１４頭で争われ、１２番人気のアブレイズが２番手から抜け出しＶ。コンビを組む藤井勘は、ＪＲＡでのうれしい初タイトルを手にした。勝ちタイムは１分４８秒２。４番人気のレッドルレーヴが中団から追い上げて３／４馬身差の２着、１番人気のシーズンズギフトがさらに１馬身半差の３着に続いた。

　好スタートを決めて果敢に先行し、直線に入ると逃げたナリノクリスティーを早々にかわして先頭に立った。藤井勘が左ステッキ連打で相棒を叱咤し、最後は外から迫ったレッドルレーヴを封じ込めた。１５歳で単身オーストラリアへ渡り、１３カ国で騎乗し、各国で重賞を獲得してきた。１８年に６度目の挑戦でＪＲＡ騎手試験に合格。１４回目の騎乗で待望の『母国』での重賞Ｖを達成した。「３６歳でこのような舞台でチャンスを頂き、結果を出せたことは素晴らしい。自信になります」と声を弾ませた。

　１５年連続のＪＲＡ重賞勝ちで、通算８０勝目を挙げた池江師にとっても感慨深い勝利となった。アブレイズの３代母リリオを、調教助手時代に米国ケンタッキーのセリで購入。「２５年ぐらい前に前田幸治オーナーに買ってもらったんですが『調教師になったら、この馬の子どもや孫を管理しないと駄目だぞ』と言われたんです。まさにブラッドスポーツの醍醐味（だいごみ）ですね。すごくうれしいです」と相好を崩した。今後はオーナーサイドの意向で、桜花賞（４月１２日・阪神、芝１６００ｍ）からオークス（５月２４日・東京、芝２４００ｍ）への路線を歩む。まだ底を見せていない素質馬が、クラシック戦線に殴り込みをかける。（採点・★★★☆☆）