【波乱G1プレーバック】08年桜花賞レジネッタ

 数多くの名勝負が生まれた平成のG1。その中でも過去に波乱に終わったレースを振り返る。

 08年桜花賞。公営・園田競馬から移籍して5年目。48回目の挑戦にして、小牧太騎手がレジネッタで待望のG1制覇を果たした。自らを“泣き虫”と認めるベテランは、人目をはばからず涙。「全国のファンの皆さん…おまたせしました!」。プレッシャーから解き放たれ、テレビ中継のインタビューでようやく胸を張った。

 小牧が当時を振り返る。「先に中央入りした安藤勝己さんがバシバシG1を勝っていたでしょう。2番目の僕もすぐに勝つと思われていたから、それが重圧になっていた。一時は“もう勝てないな”と諦めかけてたけど、あそこでふと息を吹き返した。非常に大きな一勝です。今も現役を続けられているのは、あの勝利のおかげだと思っていますよ」。

 レースは中団10番手を追走し、横一線となった直線のたたき合いを制してV。ゴールと同時に、ど派手なガッツポーズを決めた。「実は、あの時は返し馬で歩様がゴトゴト。心配していたけど、終わってみればあれが浅見厩舎の“究極の仕上げ”ってヤツやね。また、ゲートの中が悪く、立ち上がってしまって。でもそれが逆に良かった。あれで発走委員が僕に合わせてくれたから(笑)。レースもうまく行ってね。勝つときは全てがうまくかみ合うものですよ」。

 12番人気で勝利。波乱の要素は十分にあった。人気を分け合ったトールポピーとリトルアマポーラは、ともに単勝オッズが3・8倍と絶対的な存在ではなかった。レースもそろって展開苦に泣き、末脚不発に。どの馬にもチャンスがあるなか、中団からソツなく立ち回り、ドンピシャのタイミングで追いだした小牧&レジネッタに勝利の女神がほほ笑んだ。

 インタビューの最後に叫んだ「きょうは吐くまで飲みたいです!」は語り草。「あの後?(大阪の)十三でパッとやりましたよ。飲んだあとは、みんなホテルまで泊まらせてね。知らん人も多かったけど(笑)」。人情味あふれるベテランの悲願達成に、祝福の輪が広がった。(デイリースポーツ・松浦孝司)

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