【天皇賞】フェノーメノ機は熟した

 「天皇賞(春)・G1」(28日、京都)

 悲願のG1初Vへ、関東期待のフェノーメノが上々の態勢を整えた。24日の最終追い切りは美浦Wを単走。終始馬なりだったが、力強いフットワークで迫力満点の動きを披露した。初の関西遠征となるが、陣営はその不安も一蹴。視界が良好なまま大舞台へ向かう。

 派手なアクションこそなくても、関東期待のフェノーメノは文句なしの臨戦態勢を築き上げた。曇り空のなか美浦Wでゆったりと発進し、そのままの態勢で向正面を流して行く。直線は馬場の八分どころへと持ち出したが、鞍上の手綱が動くことはない。しっかり前を見据えて集中した走り、そして力強いフットワーク。6F84秒4‐39秒4‐12秒4のタイムを記録しゴールを駆け抜けた。

 見届けた戸田師は満足そうな表情。「先週に併せ馬(美浦Wで6F81秒7‐38秒9‐13秒0)で追って体ができているので、今週は単走で予定通り。特に問題はないね」と、大きくうなずいた。

 今季初戦の日経賞を完勝。「仕上がりが良かったので自信を持って臨んだ。この馬の力を出せれば結果が出ると思っていたからね」と蛯名は振り返る。1週前追い切りに騎乗した主戦は「1度使って全体的に締まってきた。順当に上向いていると思う」と手応えをつかむ。「折り合いがつけば距離は問題ない。チャレンジャーとして胸を借りる立場。相手は強いが、そういうことは考えずに乗りたい」。02年マンハッタンカフェ以来となる春盾Vを目指し、自然体で臨むことを強調した。

 昨年はダービーと天皇賞・秋でともに2着と涙をのんだ。「あのころはまだ幼いところもあったからね。それでも、先々に向けていい経験になった」とトレーナー。ジャパンC5着後はきっちり休養を取り、飛躍を誓って勝負の13年に備えてきた。「ダメージがあったわけではないが、先のある馬だからね。無理をしなかったのが良かった。精神的にも大人になってきたし、全体的にバランスの取れたいい体になった」と、イメージ通りの成長ぶりに目を細める。

 「輸送は問題ないし、精神的にも肉体的にも充実している。相手は強いけど、今のいい状態でどこまでやれるか。楽しみだね」。昨年のダービーではゴールドシップに先着。悲願のG1初Vへ、機は熟している。

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