マンションのローンが苦しい→「手取りの30%なら返せるはずだった」→共働き夫婦の誤算とは【FPが解説】

首都圏で暮らすAさんは、2021年秋に第1子が誕生することを機に、35年返済の変動金利でマンションを購入した。購入当時、共働きだった夫婦の手取りは月50万円ほどで、返済額は月に約15万円だった。これは手取り月収の30%にあたり、ネット上の多くの情報サイトで目安とされている支払い額の水準だ。

しかし2024年から住宅ローンの適用金利が段階的に上昇していくことになる。これに伴ってAさん夫妻のローンにも変化が生じた。

Aさん夫婦のローンは、返済額の見直しが5年ごとという仕組みのため、金利が上がっても毎月の引き落とし額に変化はない。ただ、金融機関から交付された最新の返済予定表を見ると、元金の減り方が遅くなっていた。

これからも金利が上がっていくことを不安に思ったAさんは、金融機関のサイトにある返済額シミュレーターで、金利が0.5%上がった場合を計算してみることに。すると、次回の見直しで返済額は月15万円から17万円程度に増える可能性があることがわかった。

また、マンションの管理費や修繕積立金の上昇や、子どもの保育料や習い事の費用の増加もAさん夫婦にとっては予想外の支出だ。これらが重なったことでAさん夫婦は「これ以上金利が上がったら、どうやって支払っていったらいいんだ…」と頭を抱えている。

Aさん夫婦は手取り収入の30%という目安水準で住宅ローンを設定したのに、なぜこのような悩みを抱えてしまうことになったのだろうか。また現状からローンの見直しをする場合、どのような点に注意するべきなのか。ファイナンシャルプランナーの川部紀子さんに聞いた。

-Aさん夫婦は手取り収入の30%をローン支払いにしているのに苦しい思いをしているのはなぜでしょうか?

30%はあくまで借りることができる目安であってゆとりを持って返していける目安とは限りません。同じ年収でも、教育費や車の維持費、マンションの管理費・修繕積立金などの支出や趣味や金銭感覚も家庭によって異なります。

もうひとつ注意していただきたいのが、30%はあくまで借入時の返済額をもとにした割合だということです。変動金利では、金利が上がれば返済額の見直し時に支払いが増えます。月15万円が17万円になれば、手取り50万円に対する割合は30%から34%になってしまいます。

-5年ルールで返済額が変わらないのに元金の減り方が遅くなっているのはなぜですか?

毎月の支払いは「元金」と「利息」の2つでできています。金利が上がって、支払額が同じなら、利息の取り分が増え、それだけ元金が減らなくなります。

5年ルールがあると引き落とし額は変わらないため、一見すると何も起きていないように思ってしまいます。しかし実際には、元金が減るスピードが落ちているのです。つまり、ピンチの先送りとなり、見直し時の返済額はその分上昇してしまうのです。

-ではAさん夫婦が日々の生活の苦しさをなくすためにはどうしたらいいでしょうか?

まずは、毎月の返済負担を軽くできる方法がないか検討してください。返済期間の延長や住宅ローンの借り換えはもちろん、貯蓄や投資の見直し、親からの贈与や借入れの可能性も検討しましょう。

Aさん夫婦なら、たとえば手取り50万円に対して返済額を25%程度の月12万5000円前後まで下げた場合、家計にどれくらい余裕が生まれるか試算してみるのも一つです。ただし、25%なら安心という意味ではなく、管理費や教育費なども含めて、無理なく払える返済額を家計から逆算する必要があります。

◆川部紀子(かわべ・のりこ) ファイナンシャルプランナー

保険会社勤務8年間を経て、現在は「FP・社労士事務所川部商店」代表として、ファイナンシャルプランナーおよび社労士の業務にあたる。お金に関するキャリアは30年超え。個人レクチャー、講演の受講者は3万人以上。

(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)

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