ジョセフHC8強導いた 因縁断ち切る会心タクト 台風の被災者に勇気届けた

 「ラグビーW杯、1次リーグA組、日本28-21スコットランド」(13日、日産スタジアム)

 A組は世界ランキング8位の日本が28-21で同9位のスコットランドを破り、4連勝の同組1位で初の8強入りを決めた。20日の準々決勝で、B組2位の南アフリカと4強入りを懸けて激突する。

 手を広げ、爆発した横浜の歓喜を受け止めた。4年前に届かなかった史上初の8強入りを果たしたジョセフHCは「特別な瞬間に、この素晴らしい日本のコーチとして立ち会えたことがうれしい」と、熱を帯びた口調で語った。

 日本各地に過去最強クラスと言われた台風19号の爪痕が残る中で行われた試合。後半、追いすがるスコットランドの猛攻に、指揮官の脳裏に災害に苦しむ人々の姿が浮かんだという。「お亡くなりになった方、行方不明の方がいることを知った。チームとしてタフな時間帯にそのことを思いました」。選手たちは立ち向かった。倒れても、倒れても。すぐに立ち上がり、前へと進んだ。「最後まで諦めない心を持って、正念場を乗り越えることができた」。死闘の80分。日本中に勇気と希望を示した選手たちを誇った。

 つけられた因縁を会心のタクトで断ち切った。4年前、決勝トーナメント進出を阻まれたスコットランドから、試合前“口撃”にさらされた。主催国の日程面の優遇、サモア戦終盤で日本のトライにつながった判定にも「驚くべき」と“いちゃもん”をつけられた。台風の影響で開催が危ぶまれると法的措置をちらつかせ、開催を迫る暴挙に、「日本の成功を批判している」と、怒りをにじませていた。

 信じて送り出した選手たちが次々と躍動した。WTB福岡を今大会初先発で起用。絶好調松島との快足“Wフェラーリ”がトライラッシュで前半の主導権を握った。後半の交代も効果的だった。スコットランドに迫られながらも、最後の一線は割らせなかった。

 4年間、作り上げてきた「ONE TEAM」がついに歴史の壁を越えた。次戦は4年前の大番狂わせの勝利で世界を驚かせた南アフリカ戦。どんな嵐にも負けず、季節外れに咲き狂う猛々(たけだけ)しき“桜”は、まだ散らない。

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