広島都市学園大の人気シェフが6年ぶりにボクサー現役復帰 全日本4度制覇の新本亜也 28日からの国スポに出場
女子ボクシングで全日本選手権を4度制覇し、国際舞台でも活躍した広島市出身の新本亜也(38)=広島都市学園大学職員=が6年ぶりに現役復帰を果たし、28日から滋賀県で行われる第79回国民スポーツ大会(国スポ)のボクシング成年女子の部に出場する。
「これまで復帰はまったく考えたことがなかったので自分自身、ちょっと驚いています」
復帰のきっかけは、引退後に知り合った知人や、指導している子供たちから「試合をしている姿が見たい」という声が上がったことだった。新本の引退以降、広島から国スポに出場した女子選手がいなかったことや、国スポのボクシング競技は隔年開催で、40歳の年齢制限もあるため、今回が出場できる最後のチャンスだったことも復帰の決断を後押しした。
職場のバックアップも受けて、6月から本格的な練習を再開。1カ月で8キロ落とす過酷な減量も乗り越え、8月に行われた中国ブロック大会で優勝し、国スポの出場権を手にした。決勝では20歳年下のU-19アジア選手権銅メダリストをフルマークで圧倒。「思ったよりもボクシングの感覚が衰えていなかった」と手応えも得られた。
現在は広島都市学園大学の西風新都キャンパスの学生食堂で“大人気シェフ”として料理に腕を振るう新本。ボクシングでは強豪・崇徳高のコーチとして選手育成に携わり、地元のジムで小中学生の指導も行っている。
国スポ初戦は29日。全国のブロック大会を勝ち上がった精鋭13人がエントリーしており、最年長の新本にとっては厳しい戦いが予想されるが、気負いはない。「以前はオリンピックという目標があったので『勝たないといけない』と自分を追い詰めてやっていたけど、今は勝ち負けではなく、楽しんでできている。そういう姿をみんなに見てもらいたいし、子供たちにも勇気を与える戦いができれば」。ラストマッチへの思いを込めてリングに上がる。
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新本亜也(しんもと・あや)1986年12月10日生まれ。広島市出身。広陵高に入学してボクシングを始める。平成国際大卒。全日本選手権では4度優勝(フライ級2度、バンタム級2度)。国際大会では10年のアジア選手権で銅メダル。同年の広州アジア大会で銅メダル。11年アジアカップで銀メダル。元世界王者の村田諒太氏、現世界4団体王者の井上尚弥らとともに出場した同年のインドネシア大統領杯では団体で金メダル、個人でも銀メダルを獲得する。2019年10月に引退。




