卓球代表 人選異論なしも拭えない違和感 ポイント3番手の美誠落選→2年間の選考レースは何だったのか
日本卓球協会は5日、都内で記者会見してパリ五輪代表の予定選手男女各3人を発表した。女子の残り1枠には、15歳の張本美和(15)=木下グループ=を抜てき。2年間の選考ポイント合計では3番手の伊藤美誠(23)=スターツ=に次ぐ4番手で終わったが、国内外で急成長を見せていた。
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よく言えば大胆、悪く言えば少し粗雑な印象も残る思い切った選考だった。張本美がこの半年で見せている驚異のプレーを踏まえれば、人選に全く異論はない。ただ、直近大会だけでなく、日本協会が自ら設定した2年間の選考レースの一部始終を見届けてきた卓球担当としては、ここまで“絶対的な指数”だった選考ポイント順を覆し「戦いぶり」「伸びしろ」といった抽象的な文言を選考理由に用いることに違和感も覚える。
選考ポイントはシングルス2枠を決めるためのものではあったが、かねて声が上がっていた過密日程や、国内選考を繰り返すことによるガラパゴス化(国際競争力低下)の指摘にも目をつむり「この過酷な選考レースを勝ち抜いた選手こそ最強」という考え方を敷いていたのではなかったのか。戦略的に明示できない事情もあったかもしれないが、選考ポイント下位選手を選ぶにあたっては、より客観的に明確な理由を挙げてほしかった。
さらに残念なことに、日本協会の幹部がテレビ番組で、代表発表直前のデリケートな時期にもかかわらず、団体代表有力選手として個人名を挙げる失態もあった。馬場強化本部長は「個人の見解で(選考に)影響していない」と否定したものの、後味の悪い一件だった。
とはいえ、3枠目の団体戦代表は、強化本部推薦の“専権事項”。仮に選考ポイントや世界ランクが低かろうと「この選手なら勝てる」と踏んだ選手を選ぶ権限がある。選手層が厚くなった中での選考とあって難しい選択も避けられない。一定の批判は覚悟の上で金メダリストを外し、15歳の青天井のポテンシャルに懸けたことには覚悟も感じる。(デイリースポーツ卓球担当・藤川資野)