元世界4位のレジェンドが壮絶テニス人生を回顧 「当時、私を知ってる人は『本当に伊達公子は怖い』というくらい張りつめた状態だった」

 女子テニスで元世界ランキング4位の伊達公子さん(54)が5日にNHKEテレで放送された「最後の講義」に出演。さまざまな分野で夢を持ち世界を目指す31人の女性聴講生を前に講義した。

 1995年末に世界4位になった伊達さんは、当時世界1位に君臨したシュテフィ・グラフ(ドイツ)に果敢に挑戦。翌96年は4月に日本での大会で7度目の挑戦でグラフに初勝利。7月のウィンブルドンでは準決勝で激突し、1セットを奪われたが第2セットを奪い返した。せっかく流れをつかんだが、日没サスペンデッド。翌日に持ち越された最終セットを奪われ惜敗した。

 その2カ月後の同年9月に伊達さんは、11月の試合を最後に引退すると突然発表。世の中を驚かせた。

 「もうちょっとやってればグランドスラムで優勝できたんじゃないか、ナンバーワンになれたんじゃないかと言ってくれる人はたくさんいた」というが「それ自体が私には怖くて」と伊達さん。「当時、私を知ってる人は『本当に伊達公子は怖い』というくらい張りつめた状態だった」と苦笑いで振り返り、その理由を「逆算生活を乱されるのが嫌で」と明かした。

 常に試合開始時間から練習時間、会場到着、宿舎出発、朝食をとる時間を逆算して過ごす毎日。「ナンバーワンになれるならどんなこともできます、と言い切れる人が世の中にはこんなにいるんだ。私はここまで思えないな。私はそこまで踏み込めなかったし、精神的にしんどい状態になってしまったことが引退の大きな決断になってしまったと思う」と突然の引退に至った経緯を説明した。

 1989年から世界を転戦し「若い20歳になるかならないかだった私が、どれだけ部屋で涙を流したか。常にガラスの状態だった中で、ちょっとでも触れられたらパリンっていってしまいそうな状態だったから、とにかくバリアーを張って。パリンと割られないように、二重も三重も四重も五重ぐらい常にバリアーを張っていた」とメンタル的に張りつめた状態だったと明かした。

 聴講生を前に「自己アピールできるようなタイプではない私だった。でも、強くいることで自分も変われた」と振り返り、「今となってはすごく貴重な時間になったので、そういう経験ができて本当によかったな」と思いを明かした。

 伊達さんはその後、2008年に37歳で現役復帰。同年11月の全日本選手権女子シングルスで16年ぶり3度目の優勝を果たした。膝の故障なども経験し、17年に引退した。

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