「大相撲秋場所」（９月８日初日、両国国技館）

　復活のＶ４３を目指す横綱白鵬（３４）＝宮城野＝が８月３１日、横綱審議委員会（横審）の稽古総見に参加し、小結阿炎（２５）＝錣山＝を三番稽古を行い、８番取って７勝１敗と好調だった。

　初日に対戦可能性がある成長株を指名。相手得意のもろ手突きをこらえて、突き落とし。組み止めてから豪快に何度もぶん投げた。

　横審総見は久々に本土俵で公開。４０００人の観客が詰めかけた。「気持ち良くできた」と気持ちも乗った。阿炎を指名したことに「力を付けて勝ち越して上位の地位を守っている。突っ張る、押してくるから土俵勘を意識してやった」と納得顔で振り返った。

　稽古の締めには大関復帰を目指す関脇貴景勝（２３）＝千賀ノ浦＝を指名し、ぶつかり稽古に胸を出した。

　「夏巡業のテーマは若手を育てることだった。相撲の発展の一つとして恩返しになる使命、役目。彼が伸びてきている。１０勝すれば大関に戻る。その景気づけ、頑張ってもらいたい。たくさん見ている中でこういう稽古をすれば大関に戻る活躍できると思ってもらえれば」と、横綱から愛のムチだった。

　当たりを受け、何度も転がし、泥まみれにしてゲキを飛ばした。「最初は軽いと思ったけど、だんだん気持ちも乗ってきた」と、大いに力を引き出した。貴景勝も「横綱の胸が角界で一番の胸。覚えさせてもらおうと。（大相撲の）ＮＨＫ中継を見てる分にはどろんこになることはないから」と、感謝しきりだった。