伊達公子、涙あり笑顔ありの引退スピーチ「寂しい気持ちの方が強いかな」

引退セレモニーで号泣する伊達公子=有明テニスの森公園(撮影・開出牧)
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 「テニス・ジャパン女子オープン」(12日、有明テニスの森公園)

 現役最後の大会としていた元世界4位の伊達公子(46)=エステティックTBC=がシングルス1回戦でアレクサンドラ・クルニッチ(24)=セルビア=に敗れて、08年から再挑戦した2度目の現役生活に幕を下ろした。OG、現役選手や元夫のミハエル・クルムも駆けつけた中、「寂しい気持ちの方が強いかなと思います」など、時に涙ぐみ、時に笑顔を見せながら思いを語った。

 朝からの雨で、試合が開催できるか危ぶまれた中、スタッフが懸命の作業でコートを整え、午後4時11分から試合が始まった。世界67位のクルニッチも強打にボレー、ドロップショット、スライスと全力を出し、0-6、0-6で伊達の完敗に終わった。

 「今日は100%にはほど遠いプレーになることは分かっていたんですけど、本当の勝負の場に立つことができるチャンスを与えていただいて、対戦相手の彼女(クルニッチ)もフルでファイトしてくれたことに、すごくテニスプレーヤーとしてすごくうれしく感じました」と感謝した伊達は「当然、自分のプレーがなかなか出ない中でも、自分なりには1ポイントでも多く、自分らしいプレーができるようにと、最後の最後まで思い続けてコートに立ち続けました」と闘志を燃やした。

 89年にプロ転向。96年に1度引退し08年から2度目のキャリアをスタートさせた。「12年のブランクを経てカムバックをし、2度のキャリアを、これだけ長い期間、プレーできたことを、本当にうれしく思います。多くの方にサポートしていただき、プライベートのスポンサーにも最初から最後まで応援してくださったスポンサーの皆さんに本当に感謝を申し上げたいと思います」と周囲に感謝した。

 2度目のキャリアでは、20代の若手選手と一緒に汗をかいた。若い世代に刺激を与えるための現役復帰だったが、「みんなが本当にやってるからこそ、私も年齢があるとはいえ頑張らなければいけないというのがあった」とお互いに刺激を与え合った。「ツアーの中にいると、どうしても勝ちたいとか、けがとか、苦しい時とか、いろいろあると思いますけれども…。きっと時間がたったらテニスというスポーツに出会えたことをすごく幸せに思える時も必ず来ますし、これだけの緊張感と達成感を味わえるスポーツ、女性が活躍できるスポーツはほかにないと思います」と途中で涙ぐみながら、メッセージを送った。

 1度目の引退理由は、テニスが嫌いだったこともあったと後年、語っている。だが、2度目は違った。「1度目の引退のようにテニスは十分、ラケットも握りたくない、という日はないと思いますので、会場にも足を運んで、皆さんと同じ立場で一緒にテニスを見続けていたいなと思います」。日本女子テニスのレジェンドは、これからもテニスと歩み、見守り続けていく。

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