広島 また固定できなかった4番 末包は好不調の波の克服が鍵 足を使った野球目指すべき 安仁屋氏が総括②【野手編】

 新井政権3年目を迎えた今季も広島は苦しい戦いを強いられた。59勝79敗5分けでリーグ5位。昨年大失速した9月は今年も負けが込み、2年連続でBクラスに終わった。チーム防御率3・20はリーグ5位。打線も得点力不足に悩まされた。課題が山積みされた今季の戦いをデイリースポーツ評論家の安仁屋宗八氏(81)が2回にわたって総括し、来季へ向けた指針を示した。

 今年も得点力不足に苦しんだ。理由はいくつかあるが、打線を形成する上で主軸になる4番が固定されなかったことに象徴される。

 4番打者不在は今年に限ったことではない。新井監督就任1年目は7人、2年目の昨年も7人、そして今年はさらに増えて8人。延べ22人の選手が、たらい回しのように据えられたのだから実に悩ましい問題だ。

 チーム本塁打71はリーグ最低の数字だった。末包がどっしりと4番に座るのが現状では理想だろうが、いい時と悪い時がはっきりしている。追い込まれると決まって変化球で打ち取られる。特に縦の変化に弱く三振が多い。この弱点をどう克服するか。

 練習では逆方向へうまく打って打球を飛ばしているし、これを試合で実践することだ。ヤクルトの村上や巨人の岡本のように。パワーでは引けを取らないのだから、秋季練習では徹底してこの技術を磨けばいい。

 ただ、一朝一夕に本塁打数が増えるとも思えない。一発に期待する野球はモロいし、今のカープでは非現実的だ。そうなると新井監督自身が公言しているように“足を使った野球”を目指す必要がある。

 チーム盗塁数57はリーグ5位。盗塁ばかりが機動力を意味するわけではないが、走塁技術に長けているとも思えない。送りバントやヒットエンドランを加えた攻撃パターンを駆使して得点するのが今の広島の野球にふさわしい。

 犠打数88はリーグ5番目。特に前半戦は強攻策に出ることが多く、ベンチの作戦としては大量点を狙っているように見えた。しかし、チーム総得点441はリーグ5位。チーム打率・246がリーグ3位であることを思えば、効率の悪い攻撃だったと言える。四球数325個はリーグ最低。これも得点力不足に拍車をかけた。

 結論を言うと、新井カープに望むのは「1点を取る野球にこだわってほしい」ということだ。バントが嫌ならエンドランをかければいい。打順も重量打線ではないのだから、2番には菊池を入れるなどして“つながり”を求めるほうが効果的だろう。

 小園が打撃のタイトルを獲得し、中村奨成が定位置をつかめるところにまでなってきた。明るい材料もあるのだから期待はできるはずだ。

 最後に坂倉。送球難に課題は残るが、右手の指をケガするまでは非難されるほど悪くなかった。成否は分からないが、コンバートするよりもこのまま捕手として勝負した方がいいのではないか。

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