広島2桁勝利投手ゼロの原因 キャンプ中に投げ込みや走り込みを 安仁屋氏が総括【投手編①】
新井政権3年目を迎えた今季も広島は苦しい戦いを強いられた。59勝79敗5分けでリーグ5位。昨年大失速した9月は今年も負けが込み、2年連続でBクラスに終わった。チーム防御率3・20はリーグ5位。打線も得点力不足に悩まされた。課題が山積みされた今季の戦いをデイリースポーツ評論家の安仁屋宗八氏(81)が2回にわたって総括し、来季へ向けた指針を示した。
今年は2桁勝利投手がゼロという数字が示すとおり、先発投手の不出来がすべてだったように思う。それは先発陣の勝ち負け(42勝62敗)によく表れている。早めに打たれて交代となるケースが目についた。
結論から先に言うと、キャンプ中に投げ込みや走り込みをやっていないことに原因があると思っている。4、5月までは問題なくても、時間がたつにつれスタミナが切れてくるものだ。
3連覇のころは今よりもっと投げていたから夏場にかけて調子が上がっていった。体力勝負に勝っていた。最近は酷暑対策として練習時間を短縮するなど工夫をしているが、だからこそキャンプ中の練習が大事なのだ。やればプラスになるし、やらなければそのツケが回ってくるだけ。
キャンプの走り込みや投げ込みは、梅雨時や夏場に備えて行うようなもの。チームとしてのやり方、考え方に問題はなかったか。油断が招いたものではなかったのか。
今は分業制が確立し、先発投手は100球あたりをメドに交代することが多い。今年は床田の6完投が目立つ程度で、最後まで投げきる試合はほとんど見られなかった。たとえ100球であっても肩のスタミナを強化するに越したことはないからね。
もうひとつ気になるのは、有望な投手に対して高校を卒業したばかりという理由で、当然のように2軍預かりにしている点だ。僕は1年目から1軍で勝負させた方がいいと思っている。本人の目標やモチベーションも大切にしたい。せっかくいいものをもって入団してきても、素材を生かし切れずにダメになることもあるからだ。
高校時代は150キロ以上のボールを投げていた斉藤優汰はどう見ても球速が落ちている。2軍でも先発する機会は少なかったし、何を教えてきたのかと疑ってしまう。他球団では高卒新人を一定のレベルまで引き上げた上で、実際に1年目から戦力として使っているではないか。
もちろん収穫もあった。森がローテーションに入ってきたし、後半からは高も加わってきた。中崎は直球のスピードが以前より速くなっている。これが一番大きい。よほど走り込んで、投げ込んできたんだろう。森浦の安定感も目を見張るものがある。栗林との2枚で後ろを任せられれば理想的だ。
若手起用に切り替えた最終盤では辻や菊地、佐藤柳、滝田といった投手が力をつけてきていることが分かった。2軍にはいい選手がいる。今後彼らをどう育て、どう起用していくかに注目したい。





