【野球】広島・中村奨 覚醒の3つの秘密 17戦で打率・367と絶好調 4試合連続複数安打中

 広島は先週の5試合を3勝2敗で終えた。5月戦線で存在感を放っているのは、中村奨成外野手(25)だ。開幕1軍こそ逃したが、4月2日に今季初昇格。徐々に出番を増やし、今月7日のヤクルト戦から4戦連続複数安打と躍動を続けている。覚醒の予感が漂う若鯉。本人と首脳陣の言葉から、好調の“秘密”をひもといた。

 中村奨はここまで17試合の出場で打率・367、0本塁打、3打点。4戦連続複数安打中で、1番打者として結果を残している。その要因は大きく3つに分類される。

 まずは打席内での頭と心の準備。「試合の流れで『ここは(積極的に)行ってもいいだろうな』とか。行く時と行かない時をきっちり整理して入っています」と明かす。冷静さが凝縮された打席は10日・DeNA戦だ。

 1点リードの九回2死満塁。初球から直球が2球続き、カウント1-1。3球目はストライクからボールになるフォーク。これを見極め、4球目の高めフォークを左前適時打とした。「1-1から真っすぐは続かないだろうなと。読みというか、考えながら割り切って見逃せた」と快音までの過程を振り返った。

 2つ目は複数の球種に手を出せている点。朝山打撃コーチが分析した。「直球を待っていて、もう1個の球種をケアしながら振っていけている。極端に言えば直球と曲がり球。それをどんどん振っていけるので、安打になる確率が高い。『この球種しか振れない』となると、この世界では厳しいんだけどね。そこが一番いいんじゃないか」と昨季との違いを語った。

 9日の同戦は五回2死一塁でバウアーと対戦。スライダーを2球空振りしたが、3球目の153キロ直球を中前にはじき返した。本人も「ここ数試合、追い込まれても『何とかできるだろう』という手応えが少しずつ出てきた」と実感を込める。

 そして最後はオープンスタンスへの変更。3月の2軍調整期間で福地ヘッド兼打撃・走塁コーチから助言を受けた。バットを寝かせるように構え、1軍投手の速球に振り負けないことが狙いだった。

 朝山コーチは「(バットの)ヘッドが頭の後ろに入り過ぎなくなって(球を)呼び込めるようになったんじゃないかな。その分、変化球のボール球を振らなくなった」と引きつけて打てていることが、あらゆる利点を生んでいると説明した。

 昨季までは、バッターボックスのホームベース側のラインから1足半離れて構えていた。今は左足を開いて構える分、右足をラインギリギリに置いている。本人は「内(内角)はいつでも出せるという入りにしている。外の甘めに目付けをして、そこから(内角に)入ってきたら引っ張る感じ」とイメージも明確だ。

 昨季までは1、2軍を頻繁に往来。いざ巡ったチャンスで凡退する場面が多かった。その姿は、もうない。「とにかく一試合一試合やっていきます」と中村奨。この勢いで不動の地位を築く。(デイリースポーツ・向 亮祐)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス